2008年07月22日

戒め

 一昨日のエントリーで触れた人のブログを読んだ。泥を飲み込むような心持ちで、画面を一番下までスクロールした。

 もう一度読もうかとも思ったが、もうダメだった。黒くて重たい気持ちが押し寄せてきて、とても冷静ではいられなかった。これ以上何を書いても、誰も幸せにならない。よって、僕はもう、口をつぐんでしまうことにした。今はただ、己の人間性の惨めさを反省するのみだ。

 

 僕は、ネット上ではできるだけ実名を晒すようにしている。不特定多数が読む掲示板に書き込む際にも、「白谷」あるいは「danie」(これは、僕が若い頃仕事場で付けられた愛称だ)のいずれかを使って発言する。発言というものは、常にその人となりを背景にして理解されるべきだと思っているから。

 ただ、それはやっぱり善し悪しなのかもな。実名であるからこそ言えないことはたくさんあるし、何より、ここ数日のエントリーなどは、僕がバカで人でなしであることを喧伝しているようなものだ。わはは。

 

 ただ、やはり今日のエントリーも、きちんと僕の名前で残しておこう。何より、自分自身への戒めのために。

2008年07月21日

 己の情けなさに、涙がこぼれた。比喩でなく。

 

 昨日のエントリーでも書いたとおり、Soyaさんを偲ぶ会に出席した。そこで、僕はひどく悪酔いした。そして、悪癖が出た。攻撃性だ。一緒にいた友人に、本当にひどいことを言ってしまった。

 昨日は、件のブログを書いた人との仲違いの理由が、向こうにもあるような書き方をしてしまったが、これはもう、僕の方が圧倒的に悪い。昨日の自分自身を振り返ってみると、そう断ぜざるを得ない。

 

 全くもって、自らに愛想が尽きたよ。

2008年07月20日

陰口、はけ口

 今夜は、昨年7月に亡くなったSoyaさんを偲ぶため、高校時代からの友人が数名集まることになっている。その会に参加する予定だった一人が、ブログで僕のことを書いていた。それを読んで、ひどく憂鬱な気持ちになっているところだ。

 彼が僕の陰口を言うだけならいい。これまでにも、彼は何度か僕のことを念頭に置いたであろうエントリーを書いている。まあ、大体のところは悪口だ。しかし、僕は特段何もすることなく、そのまま放置していた。彼が何を書くのも自由だし、嫌なら僕が読まなければいいだけだから。
 でも、よりによって今かよ。大事な友人を偲ぼうという日。しかも、ブログには事実と異なることまで書かれている。……本当に嫌だ。嫌になる。


 彼とは、高校時代からの知り合い。学年では、僕の方が1つ先輩だ。彼は大学卒業後、大手新聞社に入社し、カメラマンとして勤務。その後、出版社に転職して編集職を担当するようになった。現在は、フリーランスの編集者として働いているはずだ。一時期はそれなりに親しかった頃もあったが、やがて互いに嫌いあうようになった。
 件のブログでは、その原因を、僕が彼の人格を徹底的に否定したからだと書いている。確かに、僕は彼に、ずいぶんとひどいことを言った。それは、詫びるしかないし、詫びたこともある。
 一方、こちらに言わせれば、彼にも問題の一端はある。彼だって僕の人格を否定したことがあるし、僕の大切な人を、信じられないような言葉で傷つけたこともあった。彼は、僕によって傷つけられた事実を今も覚えている。それと同様に、僕は彼によって傷つけられたことを今でも覚えている。だが、そんなことを言い募っても不毛。そんなわけで、しばらくは互いに深く付き合うこともなく過ごしていた。

 彼と決定的な諍いをしたのは、確か6~7年前のこと。彼は自らのサイトで、一緒に仕事をしているフリーライターが締め切りを守らなかったため、大変迷惑しているという旨の記事を書いていた。ご丁寧に、ライターさんの写真付きだったと記憶している。
 当時、彼は出版社勤務。僕は今と同様、フリーランスだった。フリーの立場からすれば、企業に所属している編集者に「締め切りを守らないライター」と、ネット上で名指しされるのは辛い。また、もしそのライターに不満があるなら、誰もが読めるネット上に陰口として書くのではなく、そのライターに直接伝える方がフェアだと思った(彼の文章の書き方からして、そのライターの許可を得て記事を掲載しているとは到底思えなかった)。そこで僕は、彼にメールを書いた。まあ、今から振り返れば老婆心もいいところだったと思う。止めりゃあ良かったんだけど、そのライターの気持ちになったら、ついなあ……。

 彼からの返信は、すぐに届いた。いわく、あなたからは過去にひどい言葉を投げつけられた。そのことを理解し、謝罪しない限り、一切対話などあり得ないという文面だった。
 確かに、彼には何度もひどいことを言った。それは認めなければならない。そこで僕は、自分なりに誠意を込めて謝った。だが、僕だけが一方的に悪いわけではないのでは、と付け加えてしまった。これが、彼の逆鱗に触れてしまったようだ。彼の最後の返答は、「受信拒否します」。それ以来、彼とメールをやりとりする機会はなくなった。


 そして、昨年7月。僕はSoyaさんが亡くなったことを、高校時代からの友人の中で一番最初に知った。僕は通夜、葬儀に間に合わせるため、知っている限りの人に連絡を入れた。その中に、例の彼も含まれていた。
 過去にはいろいろあったが、少なくとも僕の方では、彼を許していた。そこで、極力冷静に連絡事項を伝えたつもりだ。続く初七日、義妹の家で「偲ぶ会」を開いたときは、僕が行くと彼が嫌がるかも知れないと思い、理由を拵えて参加しなかった。そして一周忌を迎える今年は、旧友で作ったメーリングリストを通じ、ごく普通に集まりの連絡を入れた。亡き友人の前では、過去のいきさつなんてどうでもいいことだと思っていた。

 ところが、一昨日昼、彼から仕事で参加できない旨のメールが、メーリングリストに投稿されていた。その時は、忙しいのだろうなあとだけ思っていたが、昨夜、彼のブログを見てみると、僕と会いたくないから行くのを迷っていると書いてある。そして続いていたのは、僕を揶揄する言葉。記事が更新されたのは、メールが届いたずっと後。
 彼が僕と会いたくないなら、それはそれでいい。ただ、どうしてそれを直接僕に言わず、ブログに書くのかなあ。しかも、今日。

 正直に言って、どう対処していいのか分からなかった。そこで、気持ちを整理するため、このエントリーを書いた。


 彼を非難するこのエントリーも、やはり陰口だ。最初は向こうのサイトにトラックバックを送って義理を果たそうとも思ったが、その後に続くかも知れないやりとりを想像すると、とてもできそうにない。そんなエネルギーは、残っていないのだ。

 こうして陰口を叩く自分にも、またうんざりしている。だが、この文章を心に仕舞っておけるほど、僕は成熟していなかった。


 すまん、Soya。来年はもう少し大人になって、「てげてげ」な対処ができるようになるから……。

 

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2008年07月19日

GACKPOID

 夕食時。テレビの電源を入れてみると、テレビ朝日で「ミュージックステーション」が放送されていた。このところ、ニュース・スポーツ系以外のテレビ番組をリアルタイムで見ることは、ほとんどなくなっている。しかし、折しもヴォーカル音源合成ソフト「GACKPOID」が紹介されていたため、チャンネルをそのままにしてながめていた。

 

 僕は、「初音ミク」についてはざっくりとしたところしか知らない。メロディと歌詞を入力することで、コンピュータに「歌を歌わせる」ことができるソフトであること。ニコニコ動画などに、既存曲のカヴァーやオリジナル曲が多数投稿されていること。理解としては、そんなところだ。このソフトで作られた楽曲も、そんなに数多く聞いているわけではない。
 でも、このソフトが大きな可能性を秘めていることくらいは分かる。何しろ、デスクトップで「歌声」を生み出すことができるのだ。人類史上、一貫してダントツの人気を誇っている楽器は、間違いなく人の声。それを、自由に、手軽に扱える。さらに、生み出したデジタルデータを公の場にアップするのもたやすい。
 つまり、才能さえ十分にあれば、中田ヤスタカがPerfumeによって実現していることを、中高生だってかなえられるというわけだ.

 

 「GACKPOID」は、初音ミクシリーズのエンジンを流用し、Gacktの声を利用できるようにしたソフト。大物ヴォーカリストを自由に歌わせられるソフトの登場は、音楽関係者にとってもかなりのインパクトがあるはずだと思った。でも、ソフトの紹介VTRが終わった後、スタジオの出演者のほとんどは、「ネタ」扱いをして笑っていた。凄く不思議な気がしたな。
 タモリがネタ扱いするのは分かる。彼にとって、音楽業界はあくまで「人ごと」だから。でも、でも、音楽のプロフェッショナルにとっては、そんな状況ではないだろう。新しい才能が市場に参入する際の垣根が低くなるということは、プロミュージシャンにとっては競争相手の増加を意味する。一方、自らの音楽をできるだけコントロールしたいと思う職人タイプのミュージシャンにとっては、こうしたツールの充実は、理想の音楽の実現可能性を高めることにつながるはず。大瀧詠一なんて、喜んでいじり倒しそうだもんな。ま、いじり倒した挙げ句、「こんなもの屁の役にも立たん」と放り出す可能性も高そうだけど。

 

 いずれにせよ、ミュージシャン連中のほとんどが危機感のない顔をしていたのは、ちょっと驚いた。音楽業界でも、技術の進化が制作環境を大きく変えている最中だろうになあ。

2008年07月18日

野茂と清原

 友人の阿部志穂さんが、「さらば、サザン」と銘打たれた雑誌の中吊り広告を見て、時の流れを感じたというエントリーを書いていた。夏目漱石『こころ』の、明治の精神に殉じて死んだ「先生」のことをぼんやりと思い出していたところに、突然、野茂英雄の引退というニュースが飛び込んできた。


 野茂は、偉大なピッチャーだ。彼こそが、日本プロ野球史上、最も偉大なピッチャーだと思う。独創的な投球フォーム。速球とフォークボールだけという、シンプルなピッチングスタイル。そして、MLBで果たした先駆者としての役割。
 彼以上に勝ったピッチャーは何人もいるし、彼以上に優れたピッチャーもいるだろう。でも、彼が残した足跡は、他のどんな選手よりも輝いている。あのイチローだって、野茂の存在感の大きさに比べれば、霞んで見えるほどだ。


 そんな野茂も、ついに引退か。何とも感慨深いなあ。それこそ、一つの時代が終わったのだと、痛切に感じる。


 清原は、今、何を考えているのかな。


 15年前には数々の名勝負を展開していた2人。例えば、ノーヒッター達成寸前の野茂が清原相手に速球勝負を挑んで初ヒットを打たれ、その後、ライオンズが奇跡的な逆転劇を演じた試合などは、今でも覚えている。その2人がこんなにも遠く離れた存在になってしまうなんて、当時は思っていなかった。清原ファンの僕としては、本当に残念だ。


 恐らく今夜のスポーツニュースでは、清原のコメントも流れるだろう。ひょっとすると、彼も引退という二文字が、頭をかすめているかも知れない。
 でも、清原はもうひとがんばりして欲しいな。時代の流れに棹さして、最後の悪あがきをしてもらいたい。


 それがかつてのライバルに対する、精一杯の意地だと思うのだ。

2008年06月06日

一周忌

 カメラマンのTさんから、PDFのファイルが届いた。昨年亡くなったイシイさんの写真をまとめた小冊子。Tさんが写真を選んでレイアウトし、僕がダミーのテキストを付けた。今週末、昔からの仕事仲間が集まり、これを叩き台にして編集会議を開くことになっている。

 

 イシイさんは生前、撮影した写真を僕らによく見せてくれた。だが、それらの写真の処置については、ひと言も話していなかった。こうして彼の残した写真を勝手に冊子にすることは、もしかすると、彼の意思に反しているのかも知れない。

 ただ、イシイさんは友達や家族を大切にする人だった。彼の残した写真を冊子にまとめ、それで残された者が彼を懐かしく思い出すことができるなら、イシイさんは、きっと笑って許してくれる気がする。そんな気持ちを、最近ようやく、腹に飲み込むことができた。

 

 これは、まだ叩き台だ。この後、大幅に体裁が変わる可能性もある。でも、Tさんと僕にとっては、一つの大きなステップ。少し遅れてしまったが、イシイさんの一周忌を、今、ようやく迎えることができたと感じている。

2008年05月23日

ダイエット

 昨年末から、しばらくダイエットをしていた。


 僕が某編集部に入ったのは、24歳の時。当時は仕事が終わると、先輩や同僚と毎日酒を飲むという生活だった。効果はてきめん。それまで60kg台だった体重は、わずか1年で15kg増えた。それ以来、僕にとって体重問題は、ずっと懸案であり続けてきた。

 30代半ばの頃には、76kgくらいまで体重を落としたこともある。その時とったのは絶食という手法。確かに体重は減ったが、常に飢餓感を覚えているような生活が続くはずはない。特に、原稿を書く時の空腹は耐え難かった。これでは仕事にならないとムチャ食いをし、あっという間にリバウンド。「カミカゼ・ダイエット」は、当然のことだが玉と砕けた。


 今回ダイエットを始めたきっかけは、12月中旬に「Wii Fit」を買ったこと。有楽町のビックカメラに、当時品薄と言われていたWii Fitが並んでいるのを見て、思わず買ってしまったのだ。

 折しも、岡田斗司夫氏の「レコーディングダイエット」が話題になっていた時期だ。また、前回ダイエットをした際に、日々の体重を記録することがモチベーションアップにつながることは実感していた。前回はエクセルで作ったグラフに手書きで書き込む方法だったが、これがどうにも面倒。無精な僕に続けられるはずがなかった。しかしWii Fitなら、手間なく体重を記録できるという目論みがあったのだ。
 また、僕は無精なだけでなく、根性なしでもある。毎日コツコツ着実に、なんて言葉とは全く無縁の存在だ。まして、一人ぼっちで頑張るなどということは、絶対に不可能だと分かっていた。そこで僕は、家族を巻き込むことに決めた。特に子供。これでも一応、僕も父親であるわけだ。子供の前で醜態を晒すのは避けたい。そこで、子供と一緒に体重を量ることで、減量への意思を奮い立たせようと考えた。

 ところが、時期はちょうど年末に差し掛かるところ。忘年会やら飲み会やらで、体重は否応なく増えていった。一番のピークは、クリスマス・イヴ。子供たちが焼いたケーキを平らげた後、恐る恐るWii Fitに乗ってみると、体重は約85kg。さすがに頭を抱えた。そして、「ちゃんとしたダイエット」をしようと決意した。

 手法としては、ごくごくオーソドックスなもの。摂取カロリーを減らし、運動をする。そして、日々の体重と運動量を、Wii Fitで記録するというだけ。具体的には、下記のようなことだ。
【運動】
エアロバイクを数十分以上。最初は負荷を下げて漕いでいたが、心肺機能が強くなるのにあわせて運動強度を増加。2月以降は、毎日300kcal程度の消費をめどにしていた。他には、Wii Fitで用意されている筋トレ、ヨガなどのメニューと、腹筋や腕立て伏せなどの筋トレを20~30分程度行った。
【食事】
まずはAmazonで、『簡単!食品カロリー早わかりBOOK―サッと見れば、1個、1尾、1束、1杯、1人分…がパパッとわかる』(吉田美香著・主婦の友社刊)を購入。食材ごとのカロリーがどの程度なのか、ざっくりと把握した。普段の食生活では、岡田斗司夫氏流に、「3日間4500kcal」を守るようにした。また、楽天で「こんにゃくラーメン」を購入したが、これは不味かった。一方、インスタントの春雨スープはいくつか試したが、これはそれなりに美味しい商品があり、空腹を紛らわすのに役立った。
【サプリメント】
Savasのプロテインサプリメント「ウェイトダウン」を常用(Savasのプロテインは、お試しのつもりで何種類か飲んでみたが、どれもそこそこ飲めた。プロテインは不味いものだと思っていたが、先入観に過ぎなかったんだな)。また、運動前に明治乳業の「vaam」を飲んだ。このあたりは、僕が愛読しているサッカー系サイト「発汗 (;^_^A」の発汗さんも同様のことをやっていて、とても参考になる。
【BGM】
エアロバイクを漕ぐ際には、必ずテレビをつけていた。サッカーやアメリカンフットボール、ツール・ド・フランスの中継を見ることも多かったが、一番テンションが上がるのは、やはり音楽。MTVなどの音楽チャンネルをHDDレコーダーに貯め録りし、適当に流しながら運動をした。中でもヘビーローテーションだったのが「Perfume」。「コンピューターシティ」や「エレクトロ・ワールド」は、もう何百回聞いたか分からない。


 結局のところ、ダイエットの成否というものは、モチベーションが維持できるかどうかに掛かっているのだろう。僕の場合は、家族と一緒に楽しみながら、Wii Fitで手軽に体重を記録したというところが肝だった。また、サプリメントやら器具やらを購入するという、いわば外堀を埋めるようなやり方も効果があったと思う。こういう「TIPS」の部分が、結局、一番大切なんだよな。


 周到に準備をしたおかげで、結果はきちんと出た。1月と2月はそれぞれ5kg、3月は3.5kgの減量に成功し、4月上旬には70kgのラインも割った。これで、「標準体重」を達成。いったんダイエットは中断ということにした。


 それから1カ月以上が過ぎたが、相変わらず体重は68~70kg前後を推移している。ところが、運動をやめたことで、少し筋肉が落ちた気がしてきた。そこで先日、20kgのダンベルを購入。今度は筋肉量を増やす方向で、外堀を埋めていこうかと考えている。

2008年03月17日

区切り

 明日は長女の卒業式だ。4月からは中学生。

 

 子供が中学生になるというのは、なかなか感慨深いものがある。若い頃は、40歳を過ぎた己が家庭を持っている姿など、想像もつかなかった。しかし、人というのは変わるのだな。僕も人の親として、どうにかこうにかやっているわけだ。

 

 明日は僕にとって、もう一つの区切りでもある。長らく携わってきた雑誌が休刊になり、最後の責了日を迎えるのだ。

 

 思い入れのある雑誌がなくなるのは、さびしい。それ以上に、思い入れのある人がバラバラになり、居心地のいい場所がなくなるのがさびしいな。だが、一方で、これは新しいことがらに挑戦する好機であるとも思っている。

 

 どんなことが起こっても、夜は明け、日は沈み、そして毎日は続く。人生、なんて大仰だけど、人生というものはリフトのないスキー場のようなもの。いったん滑り始めたら、あとは滑り続けるだけだ。ただ、ときどきはストックをついて、己の描いたシュプールを振り返ってみるのも大切なのだろう。そして、自らの軌跡に区切りをつけ、一息ついたら、また前に滑り出す。

 

 ということで、今日は区切りの1日前。少し気持ちが、ざわざわしている。 

2008年01月14日

ブレット・ファーブ、男の笑顔

 NFLディビジョナル・プレーオフ、パッカーズ対シーホークス戦。

 舞台は、雪のランボーフィールド。選手たちの吐く息が白い。僕は、パッカーズの大ベテランQB、ブレット・ファーブを応援しようとテレビの前に座った。

 

 試合開始直後のキックオフで、パッカーズのリターナーがボールをお手玉。パッカーズは、ロースターの約半数がルーキー、もしくはNFL2年目という、若手中心の構成だ。初めての大舞台に硬くなっているのか……と思う間もなく、次プレイで、右フラットへのショートパスをRBグラントがファンブル。エンドゾーン近くでリカバーしたシーホークスは、ショーン・アレクサンダーのランで、あっさり先制のタッチダウンを奪った。

 パッカーズには、プレイオフを経験している選手が少ない。寒さではなく、緊張で萎縮している表情が目立った。これは、早いタイミングでリズムをつかまないと、ズルズルいく可能性もある……。しかし、僕のそんな危惧とは裏腹に、次シリーズの2プレイ目でグラントが再びファンブル。シーホークスは、これもあっさりタッチダウンに結びつけてしまった。0-14。

 ゲーム開始から5分も経たずに、2タッチダウン差。正直、僕は頭を抱えた。ファーブがプレイオフに出てくるのは、もしかするとこれが最後になる可能性もある。それがこんな調子で終わったら、悔やみきれない。

 降雪は激しさを増している。シーホークスのホルムグレンHCがかぶっているベースボールキャップには、早くもうっすらと雪が積もっている。視界は悪くなる一方。パスプレイにも相当な影響がありそうだ。また、わずか数プレイで2回もファンブルしたグラントのランプレイは使いづらい。これは、かなりのハンディキャップのはず、だった。

 

 ところがファーブは、力強くこのピンチを脱出した。パスをつなぎ、最後はWRジェニングスへのタッチダウンパスを決めて、7-14。続くシーホークスの攻撃を3&outに抑えた後のシリーズでは、60ヤード以上をきっちりドライブし、グラントのタッチダウンランに結びつけた。これで同点。さらに、前半のうちに2本のタッチダウンを追加し、28-17でハーフタイムに入った。

  中でも凄かったのは、第2Q終盤、TEリーへのパス。強いプレッシャーを受け、半ばサックされかけたファーブは、間一髪でポケットから脱出。よろめき、つんのめりそうになりながら、地上すれすれのアンダーハンドでパスを投じてファーストダウンを取った。

 執念、ひらめき、遊び心……。ファーブの素晴らしさが、結晶となったワンプレイ。本当に心に染みた……。デザインされたプレイではなく、こういう崩れたプレイでの機転が、ファーブの真骨頂。しばらく、このプレイは忘れられそうにないな。

 もう一つ忘れられないのが、ゲーム後半、パッカーズがタッチダウンを取った直後のシーン。ファーブが、やはりベテランのWRドライバーに、笑いながら雪球を放り投げていた。40歳近い大男が、ガキのような笑顔でチームメイトに雪合戦を仕掛けている。

 映画「リプレイスメント」のヒロインは、クォーターバックを「the biggest baby」と呼んでいた。そうだな、ブレット・ファーブは「biggest baby」かも知れない。愛すべき、そして偉大な赤ん坊だ。

 

 今日の試合で、ファーブがさらに好きになった。クールなジョー・モンタナは僕にとって永遠のヒーローだが、ファーブも素晴らしい。クォーターバックのなかのクォーターバック、男の中の男だ。

ワニのような生き物の夢

 夢を見た。

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 僕はベッドの中でまどろんでいた。うとうとしながら体を起こすと、ベッドの横に、1枚のFAXが落ちていた。

 僕は紙を拾い上げた。コンタクトレンズも入れず、メガネも掛けていないので、文字はぼんやりしている。

 送られてきたのは、何かの雑誌の見本刷りのようだった。紙は感熱紙。僕は「今どき、どうして感熱紙のFAX用紙があるんだ?」と不審に思いながら、見本刷りに書き込まれている手書きの文字を読んだ。そこには、聞いたこともない編集プロダクションの、聞いたこともない編集者の名前がある。読み進めると、彼はどうやら、僕に原稿の確認を求めているらしい。

 紙の右下には、「1/5」と書かれている。どうやら、他にも4枚、FAXは送られてきているらしい。僕は傍らで眠っていた妻に、残りの4枚の在処を知らないか声を掛けた。妻は眠そうに、知らないと応えた。

 

 そこで僕は、仕事部屋に移動した。

 僕らの部屋は、マンションの1階にあった。間取りも内装も、全く見たことのない場所だ。ただ、1階にあるという点だけは、20代の半ばに住んでいた板橋区のマンションに似ていた。

 仕事部屋には果たして、B4サイズの4枚のFAXがあった。紙は、やはり感熱紙だった。特有の手触りと、少し湾曲して読みづらい感熱紙にいらだちを感じながら、僕は見本刷りを読んだ。

 そこには、聞いたこともない編集者から、原稿修正に関する指示が書かれていた。最初は、こんな記事など書いた記憶などないと思っていたが、そのうち、何となく僕が書いた記事のような気がしてきた。

 しかし、今日は連休の最後の日(ここは、現実を踏まえている)。僕は、「祝日の朝にFAXを送ってくるとは、なんてワーカホリックな編集者なんだ」と呆れながら、返事は翌日の平日にすればいいだろうとたかをくくり、FAXを机の上に置いた。

 

 その時、窓ガラスの外に気配を感じた。僕は、カーテンを開けてみた。すると、そこには体長7センチはあると思われる蜂がいた。僕は驚き、隣の部屋にいる妻に声を掛けた。既にベッドから出ていたらしい妻も、その蜂を見て驚いていた。すると今度は、窓ガラスの右上に、長さ1メートルほどの2つの影が見えた。それは、ワニを腹の方から見たような形だった。

 最初、影は2つだった。しかし、窓ガラスの近くにあったブロック塀の上で、影は1つになっていた。よく見ると、ワニのような生き物が、同じ生き物を食べている。共食いだ。ワニのような生き物は、もう1匹をあらかた食い尽くしているところだった。

 僕は驚いて、妻に「おい、警察に電話しろ!」と叫んだ。そして、隣の部屋に駆け込み、まだ眠っている長女に向かって「早く起きろ」と怒鳴った。気配を感じて廊下を振り返ると、そこにはワニのような生き物がいた。そいつは、こちらに向かってノソノソと近づいてくる。僕は慌てて障子(?)を閉めたが、そいつは構わず突き破った。僕は妻に、家を出て誰かに助けを呼ぶように言った。そして、窓を開けて外に出て、ガラス窓を手で押さえた。

 ワニのような生き物は、ガラスの向こうにいる。体を持ち上げたりガラスにぶつかったりして、外に出ようと試みている。僕は恐怖を感じながら、近くにいた長女に、「回りに注意しながら、ママの方に行きなさい。他にもいるかも知れないから、絶対に警戒を怠っちゃダメだよ」と伝えた……

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 当然のことだが、目覚めは非常に悪かった。何だったんだ、あのワニのような奴は?

2008年07月

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【書き手/白谷(しらたに)】
1966年生まれ、男性。千葉県市原市出身で、現在も千葉県内に在住。既婚。2人の子供あり。職業はフリーのライター兼編集者。座右の銘は「果報は寝て待て」と「飲み会は最後まで参加する」、目標は「月120時間以上は働かない」
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