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東海村の放射能漏れ事故/Iさんと新宿で飲み

 テレビで見た限り、少なくとも2人の専門家が「この種類の事故は起こってはならないこと」だと言っていた。東海村の放射能漏れ事故。

 でも、科学者や技術者たちがどんなに細心の注意を払って施設を作り、作業をしても、事故は起きる。だって、そうした施設を実際に動かしているのは、最終的には人間。そして、人はミスをする動物だもん。どんなに努力をしても、「起こってはならない」事故や「考えられない」事故を防ぐことはできっこない。

 しかし、東海村の人々、冷静だったよなあ。少なくともテレビの報道を見る限りでは、原子力施設の管理主体(「JCO」だったっけ?)の担当者などにつかみかかったりする人は見当たらなかったから。僕なんかは、絶対に、ひと暴れくらいしたい気分になると思う。だって、自分や家族の健康、命が脅かされてるかもしれないわけだから。
 放射能って目に見えないから、自分がどの程度危険なのかは、JCOやら科学技術庁やらの担当者の言葉以外に知るすべもない。ところが、この人たち、なかなか信頼できそうにないじゃない。だってさあ、よくわかんないけどさ、「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が起こったときも、彼ら(って全く同じ人たちではないだろうけど。でも、彼らが「もんじゅ」の人たちと違うメンタリティを持ってるって保証は、どこにもない)はとにかく自分たちのメンツや立場を優先したからな。作業員や地域の住民の安全とか、彼らを安心させるために情報を開示することなんて全然考えてなかった。
 今回も、そんな感じ、あるでしょ。事故が起こった場合は、すぐに茨城県などの自治体に連絡を入れるって約束になっていたのに、実際に連絡があったのは事故から1時間も過ぎてから。最初は、被曝した人は3人ってことになってたのに、深夜3時の今は21人に増えてる。本来は2.4キロまでのウランしか入れてはいけないことになっていた容器に、16キロものウランを注入したのが事故の原因だって言われてるらしいけど、じゃあなんでそんなことをしたのか、その辺の事情もオープンになってない。そんな状況で、彼らを信じろって方が無理だと僕なんかは思うんだよな。
 でも、報道を見る限りでは、現場周辺は比較的冷静なようだ。なぜなんだろう? 自分たちに害を与えた奴らが、どうして事故が起こったのか、自分たちは安全なのか、これからどうなるのかという情報を十分に与えてくれているとは思えないのに、どうして……? そう言えば、大蔵省がバカな政策をかまして膨大な公的資金を国民から巻き上げたときも、厚生省がエイズに関する情報を隠して自分たちの保身を優先したときも、似たような状況だったんじゃないのか?

 いや、みんな、絶対に暴れたい気分なんだと思うんだよな。不安で不安で、叫びたいような人も多いに違いない。ところが、そこで暴れないのが、日本人、少なくとも現代の日本人なのだ。
 それは、ある意味では日本人の長所なんだと思う。例えば、阪神大震災のときは大きな混乱も略奪も暴力も発生せず、外国のメディアからは驚かれた。日本人は、廃墟の中でも秩序を忘れない、と。どんなにひどい状況に追いこまれても冷静でいられるのはすばらしいことだと思う。ただ、どんな状況でも権力や、情報に従順でいるということは、それは美徳ではないだろう……。

 今危険にさらされているのは、原子力施設を設計した人や、茨城県に設置することを決めた人たちの健康ではない。あくまで、近隣の人々の健康と財産と命なのだ。もっと彼らが、大きな声を出してもいいと思うんだけどなあ……、ってちょっと広瀬隆みたいだが。


 17時に取材を終えた後、新宿でライターのIさんと飲み。サザンテラスのオープンテラスの店で「ギネス」を飲んだ後、東口の焼き鳥屋で日本酒、ひと歩きしてからもう一度サザンテラスでワイン。
 このIさん、ホントにユニークな視点を持っている人なのだ。友人・知人だけでなく、僕が知っている作家やエッセイストまで話を広げてみても、Iさんくらい刺激的な視点を投げかけてくれる人はあまりいない。少なくとも僕にとっては。特に、彼にサッカーと文化、特に日本文化のグダグダ加減を語らせたら、天下一品。
 ところが、今はIさんがサッカーに関する文章を書く場所が、あんまりないんだよなあ。もったいないことだ。
 とりあえず、ウェブ上に掲示板を作って、そこでサッカーの話をしようよと約束して別れる。

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1999年10月01日 00:00に投稿されたエントリーのページです。

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