夢を見た。
僕は、仲間と4人で電車に乗っていた。僕らが乗っていたのは電車の一番前の車両で、座席は15cmの高さしかなかった。
仲間というのは、どうやら同じ会社の同僚、あるいは同じ学校の在学生、という設定だった。一人は女性(この人は、全く印象に残っていない。知り合いかどうかさえ覚えていない)、一人は後輩の男性(ハンサムだが、ちょっと軽い雰囲気の人だった。俳優の中村俊介のような雰囲気、というか、中村俊介だったかも)。そして、もう一人、僕にとって先輩にあたる人物が、パントマイマーの中村有志さんだった。
最初、僕ら4人は、ごく普通の雑談をしていた。中村有志氏と中村俊介君は何かの賭けに勝ったらしく、二人とも「地元商店街で安く買い物ができる券」を持っていた(なんじゃそりゃ!)。僕がそのことを彼らに聞くと、中村氏と中村君は、僕に「イエー!」と親指を立てて応えていた。
僕らは電車に乗り込んだ。僕と中村有志氏は、座布団のような座席にどっかと腰を下ろし、中村俊介君は2人の近くに立っていた(女性がどこにいたかは覚えていない)。で、そこで僕は中村俊介君に説教(?)を始めた。
「おい、お前って、この人(中村有志氏)がどんなに偉大な人か知らないだろ」
「う~ん、そうですねえ」
「この人、すごいパントマイマーなんだぞ」
「え、マジですか?」
「ったく、お前はなあ……」
と、僕は中村有志氏の方を振り返り、話を続けた。
「中村さんのマイムに対する姿勢って、戦略的、って言うか、、マーケティング的ですよね」
僕は、なんだかインタビュアーのように、中村氏のパントマイム論について聞いていた(以前、NHKで中村氏が出ているインタビュー番組を見たことがある。そのときの印象が残っているのだろう)。いろいろ話をした挙句、最後はこんな言葉でまとまった。
「俺はね、売れない芸術なんてダメだと思ってるのよ。マイムをやってる途中で、こっちの方が客に受けるな、こっちの方がお金もらえそうだなって感じたら、自分のポリシーなんて関係なく、ひょいひょいマイムのやり方を変えてしまう。節操ないよ、ホント(笑)」
「でも、それって『商人の息子』(前述の番組で、僕は中村氏が商家の出身であることを知っていた)の発想ですよね? 日本では『士農工商』って、商人の位置が低いでしょ。芸術の分野でも、一般の人に受ける『大衆芸術』より、貧乏だけど高尚なことをやっていそうな『純芸術』の方がずっと格上みたいに見られてるじゃないですか。でもなあ、それって違うと思うんですよ」
「そうだよね。人間は、自分にとって役立つものにしかお金を出したくないでしょ? お金をもらえるってことは、僕のマイムが、世の中の人に役立ってるってことなんだよね」
「そっか、逆に、どんなに立派なことをしていても、お金をもらえないっていうのは人の役に立てていないってことになるんでしょうかね」
「そう。僕、仕事でお金をもらうたびに、ああ、こんな僕の芸でも、他の人を幸せにできるんだなあって実感してんのよ。お金は汚いものでもなんでもない。僕にとっては、人とつながり、人の役に立っている証なんだよね……」
ここで目が覚めた。
どうして、あの『TVチャンピオン』のレポーター、中村有志氏が僕の夢に出てきたのだろう? そして、どうして妙にまとまりのよいインタビューをしていたんだろう?
謎だ。
謎は多いが、でもやっぱり、夢ってのはおもろいなあ。