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伝える欲望

 ライターのくせに、僕は本当に筆無精。友人が毎日Blogを更新したり、mixi上で日記を書いているのを見ると、素直に感心する。どうしてそんなに筆まめなんだ、君らは! 僕にはとてもまねできない……。
 Blogの更新をサボっていると、何人かの友人に指摘された。でも、そこにはそれなりの理由があるのだ。ということで、今回は更新頻度が落ちている言い訳をさせてもらう。

 仕事柄、書くスピードは遅くはない。例えば、雑誌に掲載する原稿用紙50枚程度の文章なら、2日程度で書き上げる。しかし、文章を「速く書けること」と「楽に書けること」は、全く別の問題だ。
 友人で同業者のあべくんが、Blogのリンク欄で僕のサイトを紹介してくれている。当初は、僕を「白谷輝英(通称dannie)」と紹介していた。僕自身は、他のサイトや掲示板に書き込む時、「danie」と名乗るが、別にnがひとつ多いくらい全く問題ない。なので、当然そのことをあべくんに連絡することもなく、そのままうっちゃっていた。ところがある日、あべくんのサイトを見てみると、僕の通称が「danie」に訂正されていたのだ。
 誰にも指摘されてないのに、人の呼び名を正しいものに直す。このことを発見した時、思わず僕は、「ライターだなあ」と感じた。普通の人なら、リンク欄に多少の誤字があったところで、気づくことすらないだろう。でも、ライターは訂正しちゃうんだよなあ。誤字を見つけたら直すし、文章に齟齬があれば、それも多分直す。

 僕もあべくんと同様の人種。頭に浮かんだ言葉を噛み砕きもせず、ダラダラと吐き出すような文章は、僕には書けない。いや、ダラダラと吐き出した文章でも、十分読ませるほどの芸があればいいんだけど、そんな境地には全く到達できてないんだもん。
 というわけで、少なくとも僕にとっては、文章を書くことはさほど「楽」なことではないのだ。だから、キーボードを叩く暇があったら、ゴロゴロしたりグダグダしたりダラダラする方を選んでしまうわけ。


 その上、今の僕には「伝える欲望」がない。

 人が文章、特に日記のような文章を書く理由には、いろいろなものがあるだろう。書き留めておかないと忘れてしまう。書くことで癒されたい。ストレスを発散したい。自らの考えを深く掘り下げ、具体的なものにしたい……。しかしそれらは、Web上で文章を公開する理由にはならない。
 日記とWeb日記の違い。それは、読者がいるかどうかという点に尽きる。人がWeb上に文章をアップするのは、他の人に読んで欲しいと思うからだ。いや、ただ読んで欲しいだけじゃない。読者に共感や賞賛、そして愛を求めているのだ。

 しかし、現在の僕は、そういったものを求めていない。妻や子供から十分な愛をもらっているが、それはあくまで副次的な理由。もっと大きな原因は、他にある。今、精神的に「引きこもり」状態なのだ。世界に積極的にアクセスして、それを変えたり、そこから刺激を得たいと望むようなエネルギーが生まれてこない。

 職業ライターとしては、伝える技術の方がずっと大切だ。しかし、伝える欲望が枯れてしまえば、いずれこの仕事から離れる時がやってくる。困ったものだ……。

 そんなこんなで、なかなかこのサイトを更新しようという気になれない。どうして精神的に引きこもっているのか、そのあたりの自己分析もする気になれない。
 今僕がいるのはそんなところだ。

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コメント (7)

danieさーーーーーーーん!
大丈夫ですかぁ?
「伝える欲望」ですかぁ。
私は自分に嘘をつく様なデザインにあきあきして仕事辞めちゃいました。
嘘と云うか、誤魔化しと云うか・・・。
スランプに陥ってるんですかね?danieさん。
枯らさないでお仕事続けられる事をお祈りします!!

ご心配いただいて済みません。
やる気が枯れてしまうっていうのは、
ホント困っちゃいますね。


そちらもお引っ越しとかで大変そうですね!
体調にはくれぐれも気をつけてください。

だからぁ〜(笑)。
名前間違えてたの、ゴメンってぇ。
(ちくしょー、さりげなく直したつもりだったのに
気づいてたのね。ま、自分の名前だもん、当然よね)

…じゃなくて。
せっかく名前が出たので、筆まめなあべが
コメント申し上げましょう。

最近思ったのは、どちらがより社会的動物なのかというと、
実は、男性より女性なのではないかということ。
「社会とつながっていたから」という理由で、働く
男性を、私はついぞ見たことがないんですよ。
社会的に思われている「母性」が、本当に本来女性が
持っている母性だとするなら、社会復帰と称して社会と
つながるために働こうとする意欲が子持ち主婦に出て
くるのって矛盾した感情のような気がするんですよね。
方や男性って、職責とかそういう大義名分みたいなもの
には敏感だけれど、それが社会的なのかどうかというと、
たまたま男性社会における常識に従っているだけで
本当の意味での社会性とは少し違うような気がするの。
女性って、基本的に肩書きがなくても人とつながって
いる人が多いでしょう?
集団の中で自分のポジションを確立できるという点を
評価すれば、実は男性より女性のほうがずっと社会的
だよなー、って最近思ったんだよねー。

何が言いたいのかというと、私は決して筆まめではないし
締め切りも守れないので、職業ライターとしてはダメダメ。
けれど、外に向かって何かを発信できるという行為には、
お察しの通りものすごい魅力を感じるの。
これだけ雑誌に名前入りで文章を書いていてもなお、
世の中とつながっている実感が欲しいのね。
それは、雑誌の自分はライターとしての自分、で、
ブログの方の自分は割と素で、ここではライターじゃない
素の阿部志穂を知って欲しいわけ。
ところが白状しちゃうと、それが100%素のあべかというと
そうでもなくて、「人にこんな風に見られたいな」という
自分も入っていたりする。でも、それが受け入れられている
感じがすると、うれしいわけね。
なんというのか、願望に近づいた感じがして。
それは、理想の自分に近づくためのイメトレにもなるし
「このあべだったらウケる」という立ち位置研究でもある。
鏡の中での笑顔のエクササイズと一緒なワケですよ。

つまり、私が方々でお金にもならない文章を書いているのは
自分のやっていることや考えていることが、周りに
どう受け取られるのかを試す自己確認のためであって、
単純に「伝えたい欲求」のためではないということです。
つまりつまり、個人的には、danieさんが思っているよりも
もっと始末が悪いんだけれど、業が深い…(爆)?

danieさんの書く理由と、私の書く理由は、
多分根本的に違うと思います。
それを男女の差だと言い切るのも、危険な気がするけれど。
たしかに、ブログごときで何度も推敲したりします。
でも、それはきっと、よりよく自分を見せたいから。
人が持っている私のイメージを崩して、自分の立ち位置を
グラつかせたくなからだと思うんだよね。
…という風に申し上げれば、ちょっとはあべという人物が
わかっていただけるでしょうか。

みんながみんな、そんな風になったら世の中大変だから
danieさんがこの記事みたいな気持ちになる必要は
ないと思うんだよね。
書ける能力があって、それが仕事になっていて、ステキな
家族もいて、締め切りはちゃんと守る。…でいいじゃない。
私みたいに業が深いと、こういう人生になっちゃうし(笑)。
(もし気を悪くしたら、ゴメン。
何か言ってあげたくなっただけで、本当は
どこから触ったらいいのかよくわからないんだ)

あべくん、書き込みありがとう。
なんかごめんね、いろいろ気を使ってもらっちゃって。

>「社会とつながっていたから」という理由で、働く
>男性を、私はついぞ見たことがないんですよ。

んなことないんじゃないの?
例えば、今3億円の宝くじがあたっても、
僕、仕事は続けると思うんですよ。
そりゃ、何カ月かは南の島でのんびりしたとしても、
いずれ東京に戻って働くんだと思うんですよね。

やっぱり人と会わない暮らしっていうのは、
寂しいしつまらない。
そりゃ、仕事をしなくても人とは触れ合えるんだけど、
でもなあ、仕事を通じて人と触れ合うのって、特別だもんね。

何というか、仕事っていうのは
やっぱり真剣に取り組むじゃないですか。
こっちも真剣だし、仕事相手も真剣だし。
そういう状況の方が、ダラダラと向き合う関係より
刺激があると思うんですよね。

さとうたかし:

白谷さん、どうもです。
mixiに、いくつかの足跡ありがとうございます。

今まで会ったのは、アルコールのある席ばかりだったけれど、
「報道の暴力」から「玉石混合」の一連の文章読んで、酒の席とは違った一面に、感心しておりました。

仕事をする事での社会とのつながりと、あべくん曰くの社会性は、違う次元での話だ、と考えたりするのですが、兎も角、刺激のある仕事をする事が、元気が出る一番の方法だと思います。
良ければいっしょに組んで、仕事、どっかでしてみません?
真剣勝負で、写真通じてガンガン刺激してあげますよ(笑)。

白谷:

おお、さとうさん、いらっしゃいませ!

そうですね、いい仕事をすることって、
元気になるための近道なのかもしれませんね。
パーッと飲みに行くよりも、
ガーっと仕事しますか!

さとうたかし:

しましょう、しましょう。
でもその前に、何をしようか、パーッと飲みながらの作戦会議かな(笑)。チャンスつくって実行しましょう。

このような文章の中で、書き間違いをしました。「玉石混合」ではなくて「玉石混淆」でしたね。失礼いたしました。

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2005年06月30日 21:10に投稿されたエントリーのページです。

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