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ティキ・バーバー、魂の走り

 朝5時に目が覚めた。そこでビールを片手に、録画していた「ワシントン・レッドスキンズ対ニューヨーク・ジャイアンツ」を見た。

 今シーズンの開幕戦、「コルツ対ジャイアンツ」が行われたのは4カ月前。ペイトン・マニングとイーライ・マニングがQBを務めた「マニング・ボウル」を、僕は見た。この試合、勝利をつかんだのは兄のペイトン。しかし僕は、弟のイーライが率いるジャイアンツの方が、スーパーボウルに出られるチャンスは大きいと思った。
 プレイオフで勝つチームには、いくつかの条件が必要だと思う。まずは、相手QBを混乱させる、強力なパスラッシュがあること。ターンオーバーを奪う能力が高いこと。常にボールをコントロールできるランニングバックとオフェンスラインを持っていること。そして、モチベーションの高さだ。スーパーなQBが一人いても、プレイオフでは勝てない。そのことは、テレル・デイヴィスが現れたことで初めてジョン・エルウェイがスーパーボウルに勝てたこと。そして、数々の新記録をうち立てた二人のQB、ダン・マリーノとペイトン・マニングが共にスーパーボウルリングに手が届かなかった(ペイトンにはまだ十分可能性があるが)ことが証明している。
 ジャイアンツには、一流のDEストレイハンがいる。LBアリントンも加入した。ディフェンスは、相当期待できる布陣。そして「マニング・ボウル」では、RBティキ・バーバーが実に素晴らしかった。既に今季限りでの引退を発表しているベテランだが、滑らかな加速と、タックルを跳ね飛ばす力感は抜群。さらにTEショッキーなどの攻撃タレントが揃っているわけだから、イーライが多少格落ちのQBでも、十分にスーパーに進めると思ったんだよな。
 ところがどっこい、思い通りには行かなかった。前半は勝ち星を延ばしたジャイアンツだったが、後半戦は失速。16節までの成績は7勝8敗で、地区優勝は絶望。ワイルドカード進出もギリギリというところまで追い込まれた。今シーズン、ティキ・バーバーに肩入れしていた僕としては、やきもきする展開だった。

 そして迎えた最終戦。ジャイアンツは敵地でレッドスキンズに勝利。ティキ・バーバーは、234ヤードを走って3TDを奪う大活躍だった。

 負ければ引退試合となるバーバーは、まさに「魂」を感じさせる走りをしていた。タックルを受けても倒れず、壁にぶつかっても身をよじって1ヤードをもぎ取る。ビールを片手に、僕は何度もうなってしまった。そして、十数年前に見た、マーカス・アレンの走りを思いだした。
 マーカス・アレンは1980年代、レイダースのエースRBだった。ところが、ボー・ジャクソン加入後、サードダウンRBに格下げされる。追われるようにチーフスに移籍し、そこで再びエースRBの座を得た。
 そんなアレンが古巣レイダースと対戦した試合を、僕は良く覚えている。恐らく1993年か94年の12月。彼のキャリア10000ラッシングヤードが掛かった試合だった。キャリアの晩年に差し掛かっていて、脚力は完全に衰えていたアレンだったが、その日の彼は違った。自らを放り出したレイダースを見返したいという意地が、走りからあふれ出ていた。そして、キャリア10000ラッシングヤードと、数年ぶりの1試合100ラッシングヤードを達成。試合の終盤、もつれそうになる足でランニングホールに突っ込むアレンの姿を見て、僕は体が熱くなった。
 そして、今日のティキ・バーバーにも、同じ感動を味合わせてもらった。

 今週末には、プレイオフの一回戦が行われる。ティキ・バーバーの走りが、あと何度見られるのか。今から楽しみにしている。

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2007年01月04日 09:14に投稿されたエントリーのページです。

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