友人の阿部志穂さんが、「さらば、サザン」と銘打たれた雑誌の中吊り広告を見て、時の流れを感じたというエントリーを書いていた。夏目漱石『こころ』の、明治の精神に殉じて死んだ「先生」のことをぼんやりと思い出していたところに、突然、野茂英雄の引退というニュースが飛び込んできた。
野茂は、偉大なピッチャーだ。彼こそが、日本プロ野球史上、最も偉大なピッチャーだと思う。独創的な投球フォーム。速球とフォークボールだけという、シンプルなピッチングスタイル。そして、MLBで果たした先駆者としての役割。
彼以上に勝ったピッチャーは何人もいるし、彼以上に優れたピッチャーもいるだろう。でも、彼が残した足跡は、他のどんな選手よりも輝いている。あのイチローだって、野茂の存在感の大きさに比べれば、霞んで見えるほどだ。
そんな野茂も、ついに引退か。何とも感慨深いなあ。それこそ、一つの時代が終わったのだと、痛切に感じる。
清原は、今、何を考えているのかな。
15年前には数々の名勝負を展開していた2人。例えば、ノーヒッター達成寸前の野茂が清原相手に速球勝負を挑んで初ヒットを打たれ、その後、ライオンズが奇跡的な逆転劇を演じた試合などは、今でも覚えている。その2人がこんなにも遠く離れた存在になってしまうなんて、当時は思っていなかった。清原ファンの僕としては、本当に残念だ。
恐らく今夜のスポーツニュースでは、清原のコメントも流れるだろう。ひょっとすると、彼も引退という二文字が、頭をかすめているかも知れない。
でも、清原はもうひとがんばりして欲しいな。時代の流れに棹さして、最後の悪あがきをしてもらいたい。
それがかつてのライバルに対する、精一杯の意地だと思うのだ。