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ボス猿は80代

高崎山リーダー猿、在位最長記録を更新

 野生猿の餌付けで知られる高崎山自然動物園(大分市)で25日、ニホンザルC群696匹を率いる「ゾロ」が1998年12月にリーダーになって以来、11年4か月目に入り、在位最長記録を更新した。

 個体識別番号が55番の「ぞろ目」なのでゾロ。28歳で、人間だと80~90歳になる。98年当時、約10歳年上の前リーダーからバナナを奪い、のし上がった。

2010年3月26日 読売新聞)

 高崎山には「ボス猿(アルファオス)」が2頭いる。1頭が、上の記事で紹介されているゾロで、現在28歳。もう1頭が、2009年にB群のボス猿になったタイガーで、こちらは27歳なのだそうだ。

 ニホンザルの寿命は25~30歳で、人間のほぼ3分の1。だから、ゾロやタイガーは、人間でいえば80代に相当する。ちなみに、B、C群の前のリーダーは、それぞれ26歳と32歳の時にその座を追われたらしい。人間でいえば70代から90代の者が権力の座を争っているというわけだ。

 日本の政界でも、リーダーの椅子の多くは老人によって占められている。鳩山由紀夫首相は63歳、小沢一郎民主党幹事長は66歳、谷垣禎一自民党総裁は65歳。民間企業なら、定年を迎えている人たちばかりだ。また、時事ドットコムが伝えるところでは、2009年衆院選当選者の平均年齢は52.0歳だった。国立社会保障・人口問題研究所によると、2007年の日本人の平均年齢は43.9歳で、代議士は日本人の代表と呼ぶには、多少歳を取りすぎている印象だ。ただ、さすがに80歳や90歳の総理大臣が今後生まれるとは考えにくい。そう考えると、高崎山のリーダーの高齢ぶりには驚く。

 なぜ、高齢の猿がトップに立ち続けられるのだろうか。理由は、高崎山で暮らす猿の数の推移に隠されているように思う。

 高崎山自然動物園のサイトによると、1953年の開業当時、猿の数は220頭に過ぎなかったそうだ。ところが、現在では1222頭と、5倍以上に増えた。これは、人間が猿を保護し、十分な餌を与えてきたことを意味している。こうした環境下では、激烈な生存競争など起こるはずがない。他の個体や群れと争わなくとも、互いにまったりと共存できるからだ。そうした場所でリーダーに求められるのは、メンバー同士の関係を上手にまとめる調整能力や、周囲の猿を引きつける「品格」のようなものになるだろう。

 しかし、もし人間が餌を与えなくなったら、猿社会はどう変わるだろうか? 当然、山のそこここで縄張り争いが起こる(縄張り争いとは、すなわち餌場の確保に他ならない)。群れ同士の抗争も激しくなるだろう。そこは、より直接的な力がものをいう世界だ。喧嘩の強さや体の大きさが、リーダーの必須条件になる。

 報道によれば、ゾロは体も大きくなく、足腰も弱ってきているという。それでも彼がリーダーとして君臨できているのは、高崎山が平和な世界だからだ。人間に餌付けされている状況が本質的な意味で幸せかどうかは分からないが、少なくとも、凪のように穏やかであるとは言えるだろう。

 翻って、人間界。もし、民主党のリーダーが長妻昭氏(49歳)や細野豪志氏(38歳)、自民党が石破茂氏(53歳)や柴山昌彦氏(44歳)あたりの世代にバトンタッチされれば、個人的には喜ばしいことだと思う。ただ、それがあまりに急ピッチで実現するとしたら、それは同時に、日本が不幸な状況であることを意味しているのかも。

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