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17歳のテロ実行犯は、果たして「少女」か?

自爆犯は17歳の少女か モスクワ地下鉄テロ

【モスクワ共同】2日付のロシア有力紙コメルサントは、ロシア治安当局が、先月29日に起きたモスクワ地下鉄連続爆破テロの実行犯の1人を南部ダゲスタン共和国の17歳の少女とほぼ特定したと報じた。

(2010年4月2日 47NEWS)

 厚生労働省の簡易生命表が伝えるところでは、2008年時点における日本人の平均寿命は男性79.29歳、女性86.05歳。こういう数字を知っているから、とっくに四十路の坂を越えた僕でも、「あと30年くらいは生きられるかな?」なんて虫のいいことを考えられるわけだ。

 ところが世界には、平均寿命が50歳に満たない国もたくさんある。総務省統計局がまとめている「男女別平均寿命」によると、男女合わせた平均寿命が50歳未満の国・地域は、下記の9カ国。

シエラレオネ……40歳(男性39歳、女性42歳)
アンゴラ……41歳(男性40歳、女性43歳)
アフガニスタン……42歳(男性42歳、女性43歳)
スワジランド……42歳(男性41歳、女性43才)
ニジェール……42歳(男性42歳、女性43歳)
レソト……42歳(男性40歳、女性44歳)
ザンビア……43歳(男性42歳、女性43歳)
ジンバブエ……43歳(男性44歳、女性43歳)
ナイジェリア……48歳(男性48歳、女性49歳)

 シエラレオネをはじめとするアフリカ国家の平均寿命が短いのは、おおざっぱに言ってエイズのせいだ。外務省の「HIV/エイズ感染率(PDF)」によると、HIV感染率が15%を超えているのは、スワジランド、レソト、ボツワナ、ジンバブエなど8カ国。上のリストと、かなりの部分で重なる。とりわけスワジランドの感染率は、40%に迫ろうとしているらしい。コレラやマラリアといった伝染病で亡くなる人も少なくないし、さらに、内戦や政府による弾圧も数多くの人命を奪っている。
 これに対し、アフガニスタン(上に挙げたなかで、唯一のアジア国家)は、事情が異なる。平均寿命が短い最大の理由は、ソ連による侵攻、ソ連軍撤退後の内戦、そしてアメリカ軍などによるタリバン政権への攻撃といった、止むことのなかった暴力行為だ。そして、紛争による国土の疲弊も、状況の悪化に拍車をかけている。

 こうした地域で暮らす人々と日本人とでは、時間のとらえ方が全く異なっているはずだ。『ゾウの時間、ネズミの時間』と同じこと。あるいは、平均寿命が今よりずっと短かった幕末期に、若き志士が活躍したのも似た事情だろう。平均寿命が40歳、10~20代で亡くなる人も珍しくないという社会では、我々とは時間の密度が違うのだ。

 冒頭のニュースで実行犯と伝えられた「少女」は、ダゲスタン共和国の出身とされている。ここは、激しい紛争が続くチェチェン共和国の右隣。
 Wikipediaのチェチェン共和国の項目によれば、チェチェンでは「ロシア軍により20万人近くのチェチェン人が犠牲になり、4分の1のチェチェン人が死んだ」そうだ。仮にこれが事実だとすれば、チェチェンの平均寿命はアフガンと大差ないはず。ダゲスタンの事情はよく知らないが、少なくともテロ組織の人間については、チェチェン人と同じようなペースで生き急いでいるのではと想像する。だから、この17歳の犯人は、必ずしも「少女」とは呼べないのではないか。日本にいる20代、30代の女性と同じくらい、精神的には「大人」だったのかも知れない(「大人」はテロなどしないという議論は、また別の話として)。
 犯人から見れば、日本の17歳の生きざまは、実に緩んでいるように見えるだろう。ただ、それは悪いことじゃない。それなりに幸せなことなんじゃないかなとも思うのだ。

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