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中国の「富士康集団」工場の自殺率は、中国全体の25倍に上る?

深せんの工場でまた自殺未遂 25歳男性が手首切る

 28日付の香港紙、明報などによると、工員の飛び降り自殺が相次いでいる中国広東省深●(=土へんに川)市の台湾系大手電子機器メーカー、富士康集団(フォックスコン)工場で27日早朝、25歳の男性工員が手首を切って自殺を図った。病院に運ばれ命に別条はないという。

(2010年5月28日 msn産経ニュース)

 報道によれば、富士康集団はアップルやデル、ヒューレッド・パッカードなどの企業から、携帯電話機やパソコンを受託生産している企業。今年1月からの5カ月弱で、同社従業員のうち13人が「工場内で」自殺を図り、10人が亡くなったという。
 msn産経ニュースの別記事「中国携帯メーカーで相次ぐ若者の自殺 軍隊式管理のストレス? 一人っ子世代のひずみ?」によると、中国で雇用されている同社従業員は40万人(他媒体では、45万人、54万人とも伝えられている)。郭台銘会長は、会見で「40万人以上いる従業員の割合からみれば、死亡率は高くない」と話したそうだ。そこで、同社の10万人あたり年間自殺率を計算してみると、下記の通りになる。

自殺者数10人÷(全社員数40万人×10万人)×(365日÷1月から今日までの日数128日)=7.13人

 つまり、同社における1年間の自殺率は、人口10万人あたり7.13人だ。ちなみに、内閣府が公表している『平成21年版 自殺対策白書』によれば、日本人の10万人あたり自殺死亡率は、2008年度時点で25.3人。また、「社会実情データ図録」の「自殺率の国際比較」によれば、1999年における中国の自殺率は13.9人(23人というデータもあるようだ)。なるほど、7.13人という数字は日本や中国の平均自殺率より低い。これだけを見れば、同社における死亡率は騒ぎ立てるほど高くないという会長の言葉は、説得力を持つようにも見える。

 だが、会長のコメントはまやかしと言える。やはり、この工場の自殺率は異常なのだ。

 「平成21年版 自殺対策白書」の「11 場所別の自殺の状況」ページによれば、日本における自殺の場所で最も多いのが自宅(54.3%)。続いて、乗り物(10.3%)、高層ビル(5.1%)、「海(湖)・河川」(5.1%)、「山」(4.3%)の順になっている。勤務先で自殺する人は、2%程度しかいない。つまり、勤務先で自殺した日本人は、10万人あたり0.5人程度。中国でも同様に、勤務先で自殺する人の割合が2%と仮定すれば、10万人あたり0.3人弱ということになる。これに比べれば、7.13人という数字は約25倍。十分に突出していると言えるだろう。
 ニュースでは、自宅などで自殺を試みた同社の従業員がいるかどうか、明らかにはされていない。しかし、それなりの数の従業員が、勤務先以外で自殺を図っているのではないかと想像するのだ。そして、それらは「ただの自殺」として黙殺されている可能性が、十分にある。

 ITメディアの記事「自殺相次ぐ中国のガジェット工場、AppleやDellが調査」では、アップルなどの取引先企業が、工場の労働環境の調査などを始めていると伝えている。ただし、労働条件が劣悪だった場合、iPadなどの主力商品のイメージダウンにつながる危険性も十分。果たして、アップルなどは公平な調査結果を公表できるだろうか……。

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