ホーム > ニュースな数字 > 日本の適正人口は6000万人?~到達するのは70年後の予定

日本の適正人口は6000万人?~到達するのは70年後の予定

09年の出生率1.37 前年と同じ、上昇傾向止まる

 2009年の合計特殊出生率は前年と同じ1.37だったことが2日、厚生労働省が発表した人口動態統計で分かった。05年に1.26と過去最低になって以降、3年連続して上がっていたが、少子化の改善傾向が止まった。出生数や婚姻数も減っており、08年秋以降の深刻な不況で、結婚や出産を控える女性が増えたとみられる。

(2010年6月2日 朝日新聞)

 現代の日本における人口置換水準(人口が均衡を保つための出生率)は、2.07~2.08とされている。しかし、2009年の合計特殊出生率は1.37。人口置換水準の66%程度に過ぎない。ざっくりと言えば、一世代(約30年)ごとの人口が、3分の2ずつ縮小していくわけだ。
 人口が減ることは、国力の減少に直結する。労働力が減って国家全体が生み出す富の量も減り、国際的な競争力を失ってしまうからだ。逆に、多くの人口(特に若い世代)を抱えている国は、強い成長力を秘める。その好例が現在の中国だし、第二次大戦後の日本だ。総務省統計局「世界の統計」によると、1950年の日本の人口は8300万人。中国(5億4500万人)、インド(3億7200万人)、アメリカ(1億5800人)、ロシア(1億0300万人)に次いで、世界5位だった。その後の高度成長時代を経て、日本が世界第2位の経済大国にのし上がったのは、豊富な人口(労働力)を抱えていたことが大きく寄与していたのだ。ちなみに、1950年当時の世界総人口に占める日本人の割合は3.3%。それが2009年には、1.9%にまで落ち込んでいる。世界経済における日本の存在感も、恐らく、同じような比率で小さくなっているのではないか。

 ただ、個人的には、人口が減るのは悪いことばかりではないと思っている。

 石油などの地下資源はもちろん、水、森林、魚といった資源のほとんどは、世界中で減少傾向に陥っている。日本でもゲリラ豪雨や竜巻といった以前はめったに見られなかった気象現象が起こったり、東京の気温が100年で3度上昇するなど、地球環境も目に見えて変わってきた。世界がこうした状況なのに、「産めよ増やせよ」「買って消費してまた買え」という拡大志向の生き方を目指すのは、もはや時代錯誤でしかないと思えるのだ。快適な暮らしを守りながら、地球に負荷をかけないよう、上手に縮んでいく。日本人は、そうした方向に舵を切るべきなのではないか。
 それに、日本は世界でもトップクラスの長寿国だ。厚生労働省の「簡易生命表」によれば、日本人男性の平均寿命は79.29歳、女性は86.05歳。これは、中国(男女合わせた平均寿命74歳)より9年ほど、アメリカ(平均寿命78歳)より5年ほど長い。であれば、「高齢者」という枠組みも、もう少し後ろに倒してもいいだろう。今の65歳、70歳の中には若々しい人も多い(現に、鳩山由紀夫氏、小沢一郎氏、菅直人氏、谷垣禎一氏、大島理森氏、亀井静香氏といった現政界の主役たちは、皆、60代~70代ばかりだ)。少子化が引き起こす問題の一つに、高齢者が増えて現役世代の負担が増えることが挙げられるが、65歳、あるいは70歳になっても働く人が増えれば、現役世代の負担は相対的に小さくなる。内閣府の「子ども・子育て白書」を見ると、2055年の高齢化率(65歳以上人口の占める割合)は40.5%とある。だが、これが現実になったとしても、「高齢者」のかなりの部分が現役世代として働いているはず。喧伝されているような「1人の現役世代が1人の高齢者を支える」ような事態にはならないはずだ。
 もちろん、急激な少子高齢化で人口ピラミッドがいびつになると、さまざまな面で弊害が生まれやすい。だから、合計特殊出生率を上手く調整しながら、ゆっくりとソフトランディングする必要がある。少子化対策の担当者には、上手な操縦が要求されているのだ。

—-

 昔は、1人が1年間に1石の米を食べて生きていたと言われる。水喜習平氏のサイト「江戸と座敷鷹」によれば、江戸時代中期の日本の総石高は2588万石(1697年当時)で、人口は2453万人(1721年当時)。また、明治初頭の石高が3201万石(1873年当時)に対し、人口は3216万人(1872年当時)と、「1人=1石」の法則が成り立っているのが分かる。一方、農林水産省の「農林水産基本データ集」によると、2009年における国内米の生産量は847万4000トン。米1石は約150kgだから、8474000トン÷0.15トン=5650万石となる。つまり、日本にとっての最適人口は、実は6000万人弱なのではないか。
 国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2010)」によると、2008年の出生率・死亡率がずっと続いた場合、日本の人口が6000万人になるのは2080年のこと。あと70年すると、日本という「生態系」が安定して、人口は自然に下げ止まるかも知れない。ま、その時僕はこの世にいないはずなので、勝手な想像にすぎないんだけれどさ。

—-
※2つのブログランキングに参加中です。下のバナーをクリックしていただけると嬉しいです。

人気ブログランキングへ にほんブログ村 ニュースブログへ

—-

関連する記事:


コメント:6

コタン 2014年1月1日

新年にあたって人口推計が出てまして、調べているうちにこちらに到着しました。
将来的に人口が適当な定常状態に落ち着くかということですが、無理だと思います。人口が減ることと出生率の増加に相関はないですよね。婚姻率も減る一方ではどうにもならんでしょう。

白谷 2014年1月1日

コタンさん、コメントありがとうございます。

将来、人口が定常状態に落ち着くかどうか、僕には分かりません。人口の増減を左右するパラメータは数多いので、それらが変われば、将来の人口も当然変わるでしょう。ただ、「人口減と出生率の増加に相関はない」というのはどうでしょうか? 人口が減ると、国や地方自治体の財政が持たなくなって児童福祉予算がカットされ、さらに出生率を引き下げる可能性があります。一方、人口減を補うために移民の受け入れが活発になり、それが出生率増をもたらす可能性もあるでしょう。つまり、それが正か負かは分かりませんが、相関はかなりあると私は考えています。
※恐らく、コタンさんは「正相関があるとは必ずしも言えない」という意味でおっしゃったのでしょう。もしそうであれば、私も同意です。

tatsy 2014年1月15日

最後の二つの段落で、日本の国内の米の生産量から日本の適正人口を求めていますが、導き方が正しいとは言えないと思います。
現在の食の状況は1697年や1872年とは大きく違いますよね。 それは米以外にも食料があり、それを消費する人が多く増えているという点です。そういった状況を踏まえず、一石=一人 の方式を当てはめようとするのはあまりにも無理がありすぎると思います。もし、私の議論が間違っている根拠があれば、それをふまえて反論していただきたいです。よろしくお願いいたします。

白谷 2014年1月15日

tatsyさん、こんにちは。

「導き方が正しいとは言えない」というご指摘、ごもっともだと思います。
昔の「一人=一石」という尺度で適正人口を求めるというのは、実に乱暴なやり方ですよね(^^)。ですので、特に反論はございません。

ちなみに、tatsyさんは適正人口、あるいは、日本の人口問題について何か御意見はおありですか? もしあるのなら、お教えいただけるとありがたいです。

ばしくし 2014年3月20日

そもそも、江戸時代以前の日本では、米は食物としてより、通貨としての機能・価値の方が遙かに大きかったわけです。

藩の財政は石高で測っていたし、年貢として米を納めていたくらいですから。堂島にできた世界初の取引所は、米取引所ですし。

現在様で言い換えれば、企業の財政はお金(=円)で測られますし、消費税・所得税・固定資産税…あらゆる租税はお金(=円)で納めています。東京証券取引所で取り引きされているものは、お金(=円)ですしね。

江戸時代以前における米は、現代における円と読み替えた方が、現実的に理解できると思います。

そう考えれば、当時日本人の9割を占めた農民が、米を口にするなんてもったいなさすぎて
自ら進んで粟や稗を食べて、米を納税していた…特に、豪農と言われていた層でさえその有様…という話も納得です。

そういう視点から一石一人の観点を現在感覚に当てはめますと、一石という単位は
一人が一年に食べる米の量ではなくて
一人が一年に消費するお金の量

に該当する単位とみなすのが自然なのではないでしょうか?

当時の一石は、現在で言えば、国民一人当たりの年間平均支出額(円)の価値を持った単位として機能していたのではないか?

と思います。

貨幣としての価値から適正人口を考えるなら、大ざっぱに見て

GDP(円)÷国民一人当たりの年間平均支出(円)

のような感じで、似たような数値は導出できるんではないでしょうか。

白谷 2014年3月21日

ばしくしさん、コメントをありがとうございます。

「一石は、一人が一年に支出するお金の量」というご指摘、
とても鋭いと感じました(^^)。
「一石=1年に食べる量」という考え方は、
カロリーベースの発想だと言えるでしょう。
しかし、ご指摘のように、当時の農民は
稗や粟、芋類なども主食として食べてました。
ですから、カロリーベースの発想法は
完全に正しいとは言い切れないですよね(^^)。

例えば、江戸時代の軍役などは、
ばしくしさんの「一石=1年に支出額」を補強するための
ヒントになり得るかもしれません。

例えば、1万石の大名は軍役300人程度と聞いたことがあります。
300人はいわば正面戦力で、その家族や使用人などを含めれば、
恐らく2000人くらいを養う必要性があるのではないかと想像します。
それが大名家のバランスシートと合致していれば、
ばしくしさんの御意見が正しいことの証左になるのではないかと思います。
これ、楽しそうですね!

とても勉強になる御意見をいただき、本当にありがとうございました!
感謝いたします。

コメントフォーム
入力した情報を記憶する

トラックバック:1

この記事のトラックバック URL
http://www.shiratani.net/2010/06/02/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e9%81%a9%e6%ad%a3%e4%ba%ba%e5%8f%a3%e3%81%af6000%e4%b8%87%e4%ba%ba%ef%bc%9f%ef%bd%9e%e5%88%b0%e9%81%94%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%af70%e5%b9%b4%e5%be%8c%e3%81%ae/trackback/
トラックバックの送信元リスト
日本の適正人口は6000万人?~到達するのは70年後の予定 - 白谷のノート(3冊目) より
pingback - IRC公開LOG #もの書き 2014年1月24日 | クリエイターズネットワーク より 2014年1月25日

[…] – 白谷のノート(3冊目) http://www.shiratani.net/2010/06/02/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%81%A9%E6%AD%A3%E4%BA%BA%E5%8F%A3%… [Kannna] ふみゅん [Yu_Aizawa] あと5500万人とか !Quit syamo (Ping timeout: 121 […]

ホーム > ニュースな数字 > 日本の適正人口は6000万人?~到達するのは70年後の予定

注意書き
 このサイトはリンクフリーです。個別記事への直リンクも問題ありません。引用については、ルールの範囲内でどうぞ。
 記事に誤りなどがあれば、コメント欄、または書き手についてページ内のメールフォームを使ってお教えいただけると、大変ありがたいです。
 初めてコメントをご投稿いただく場合、管理人の承認が行われるまで表示されないことがあります。時に、承認まで数日かかることもありますので、あらかじめご了承ください。
書き手について、他
検索
過去に書いたこと
ブックマークとRSS

全ての記事(RSS2.0)
全ての記事(Atom)
全てのコメント(RSS2.0)


過去につぶやいたこと
つぶやいたこと

ページの上部に戻る