- 2010年6月21日 12:44
- ニュースな数字
南アW杯:イタリア落胆、メディアも 2戦連続引き分けで
サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、20日の格下のニュージーランド戦を1-1で終え、2戦連続の引き分けとなったイタリアでは、メディアが一斉に「また、がっかりさせられた」(ANSA通信)など、まるで負け試合のような論調で失望を伝えた。
イングランドに続き、イタリアも2戦連続の引き分け。ドイツ、スペイン、ポルトガルも調子に乗りきれていない。フランスに至っては、6月21日付けmsn産経ニュース「【W杯】フランス空中分解、選手が練習ボイコット」などで伝えられている通り、監督に暴言を吐いたFWアネルカの強制送還をきっかけに、選手が練習をボイコットしているという。今回のワールドカップは、強豪国にとって受難の大会になっているようだ。
その最大の理由は、ロースコアゲームが多いことだ。ここまでに29戦が行われ、57のゴールが生まれた。1試合あたりの得点は1.97点。6月14日付け記事「南アW杯1試合あたり得点は1.63~前回より0.81、前々回より1.25も低い」の時点よりは増えたが、前回のドイツ大会(グループリーグの1試合あたり得点は2.44)に比べ、依然として0.47点も低い。
その結果、実力的に優位にあるはずの国が勝ち切れていない。前回大会のグループリーグにおける引き分け数は、48試合中11試合。引き分けが占める割合は22.9%だった。一方、今回は29試合中10試合、34.5%が引き分けに終わっている。
その元凶は「シュートが枠に行かない」ことにあるというのが、僕の考えだ。それを証明するために、FIFA公式サイト内にあるスタッツを参照し、これまでに行われた29試合の、両チームあわせたシュート数、枠内シュート数、得点数を集計してみよう。
| カード | シュート数 | 枠内シュート数 | 得点数 |
| 南アフリカ対メキシコ | 23 | 10 | 2 |
| ウルグアイ対フランス | 25 | 6 | 0 |
| 南アフリカ対ウルグアイ | 29 | 9 | 3 |
| フランス対メキシコ | 25 | 9 | 2 |
| アルゼンチン対ナイジェリア | 31 | 8 | 1 |
| 韓国対ギリシャ | 24 | 9 | 2 |
| ギリシャ対ナイジェリア | 37 | 15 | 3 |
| アルゼンチン対韓国 | 35 | 13 | 5 |
| イングランド対アメリカ | 31 | 12 | 2 |
| アルジェリア対スロベニア | 18 | 6 | 1 |
| スロベニア対アメリカ | 21 | 10 | 4 |
| イングランド対アルジェリア | 26 | 7 | 0 |
| ドイツ対オーストラリア | 26 | 12 | 4 |
| セルビア対ガーナ | 29 | 5 | 1 |
| ドイツ対セルビア | 24 | 7 | 1 |
| ガーナ対オーストラリア | 30 | 11 | 2 |
| オランダ対デンマーク | 28 | 10 | 2 |
| 日本対カメルーン | 16 | 9 | 1 |
| オランダ対日本 | 19 | 8 | 1 |
| カメルーン対デンマーク | 36 | 14 | 3 |
| イタリア対パラグアイ | 18 | 6 | 2 |
| ニュージーランド対スロバキア | 21 | 5 | 2 |
| スロバキア対パラグアイ | 17 | 6 | 2 |
| イタリア対ニュージーランド | 26 | 8 | 2 |
| コートジボワール対ポルトガル | 12 | 3 | 0 |
| ブラジル対北朝鮮 | 37 | 13 | 3 |
| ブラジル対コートジボワール | 22 | 10 | 4 |
| ホンジュラス対チリ | 27 | 7 | 1 |
| スペイン対スイス | 32 | 11 | 1 |
| 合計 | 745 | 259 | 57 |
| 1試合あたり | 25.7本 | 8.9本 | 1.97点 |
| 枠内シュート率(枠内シュート数÷シュート数) | 34.8% | ||
| 枠内シュート得点率(得点数÷枠内シュート数) | 22.0% | ||
また、同様にしてドイツ大会のグループリーグ48試合分も集計してみた。こちらは、合計の数字だけ紹介しておく。
| シュート数 | 枠内シュート数 | 得点数 | |
| 合計 | 1136 | 526 | 117 |
| 1試合当たり | 23.7本 | 11.0本 | 2.44点 |
| 枠内シュート率(枠内シュート数÷シュート数) | 46.3% | ||
| 枠内シュート得点率(得点数÷枠内シュート数) | 22.2% | ||
「枠内シュート得点率」は、前回が22.2%、今回は22.0%とほとんど変わらない。4.5回の枠内シュートを放つと、1回ゴールが決まるという計算だ。また、1試合あたりのシュート数は、前回の23.7本に比べ、今回は25.7本と多少増えた。それなのに得点数が少なくなっているのは、「枠内シュート率」が前回とは全く異なるからだ。前回は全シュートの46.3%が枠内に飛んでいたのに対し、今回は34.8%と激減。実に、11.5%も下がっているのだ。
主犯はやはり、公式ボール「ジャブラニ」だろう。今大会では、ゴールを狙ったフリーキックがクロスバーのはるか上を過ぎたり、ロングパスがずれてサイドラインを割るケースが非常に目立つ。各選手がボールをうまくコントロールできていない証拠だ。ボールの扱いづらさゆえに枠内シュートが減り、それに連れて得点も減っているのだと推測する。
今さら公式ボールを替えるわけにもいかない。今大会は、恐らくこのまま、引き分けやPK戦の多い展開が続くのだろう。
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ところで、上の表を見て分かるように、両チーム合わせたシュート数が20本未満の試合は6試合。そのうち2つが日本代表戦によって占められている。これは、なかなか示唆に富んだデータだと思う。
日本の戦略は、豊富な運動量によって激しいプレスをかけ、相手にシュートまで持ち込ませないということ。いわば、「ゴール前でなく中盤で戦う」やり方だ。この2戦の結果を見る限り、それは十分に成功していると言えるだろう。
得失点差で不利なデンマークは、第3戦に勝つため、最終ラインを高く設定した布陣をとるに違いない。しかし、日本代表は伝統的に、前がかりで攻めてくる欧州のチームに相性がいい。中盤でのプレスが決まりやすくなるからだ。もし、これまでと同じゲームプランが完遂できれば、スコアレスドローによるグループリーグ勝ち抜けも現実味を帯びてくる。
選手個人の能力からすれば、デンマークの方が多少(いや、かなり?)上なのかもしれない。だが、次の試合に限っては、日本にとって有利な点がいくつもある。懸念されているレギュラー選手のスタミナ切れさえ起こさなければ、2度目の決勝トーナメント進出の可能性、期待をしてもいいのではないか。
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コメント:2
- てん 2010年6月23日
グループリーグの1巡目、2巡目を分けてデータを見ると、
1巡目は確かにおっしゃる通り「枠内シュート率」の低下と1試合の平均得点がパラレルですけれども、2巡目は、「枠内シュート率」は1巡目とほぼ同じであるのに、平均得点は、過去3回の大会と同水準です。
もちろん、グループリーグトータルで見ると結果が異なるかもしれませんが、1巡目の25得点が2巡目で42得点に上昇しているのに、「枠内シュート率」に変化が無い、というのは、いささかお説にはネガティヴなデータかと思われますがいかがでしょうか?- 白谷 2010年6月23日
てんさん、こんにちは。
初めまして、でしょうか?>1巡目は確かにおっしゃる通り「枠内シュート率」の低下と1試合の平均得点がパラレルですけれども、2巡目は、「枠内シュート率」は1巡目とほぼ同じであるのに、平均得点は、過去3回の大会と同水準です。
なるほど、そうなんですか。
僕の方では1巡目と2巡目のデータを出していないので、
とても参考になります。
もしてんさんが詳細なデータをお持ちでしたら、
ぜひ拝見できると嬉しいのですが。
そちらを見たら、また新たな発見があるかもしれませんし。ところで、ご指摘いただいて思ったのですが、
1巡目と2巡目、あるいは3巡目という切り口で、
過去のグループリーグを洗い直してみる方法も有力ですよね。
一般に、1巡目はどのチームも慎重に入り、
2巡目になると、初戦の結果によって
攻勢に出ざるをえないチームが増えて点の取り合いになる、
なんてイメージがありますが、
1、2、3巡目それぞれの得点数の推移を追うと、
そのイメージが裏付けられるかもしれません。
場合によっては、それがただの先入観だったと分かるのかも?
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