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2010年7月16日のアーカイブ

不要な110番通報によって、77人の静岡県警警察官が1年間無駄に働いている

「クモ退治を」「車故障」110番の4割不要不急

 2009年に静岡県警が受け付けた110番通報の約4割が「不要不急」の通報だったことが、県警通信指令課のまとめでわかった。

 不要不急の通報は、犯罪の容疑者の逮捕など警察の活動に支障をきたす恐れがあり、同課は「1分1秒を争う本来の110番通報がスムーズにつながり、迅速な対応ができるよう、急を要さない通報は控えてほしい」と呼びかけている。

(2010年7月16日  読売新聞)

 上で紹介した記事によれば、昨年、静岡県警が受けた110番通報は24万5458件。そのうち、36.4%にあたる8万9381件が、出動の必要のないものだったそうだ。通報のなかには、「クモを退治して欲しい」「外出中に子供の面倒を見て欲しい」といった、あまりにも自己中心的な事例もあったという。

 仮に、1件の身勝手通報に対処するために、2人の警察官がパトカーで出動するとしよう。消費する時間は、現場への往復に20分、現場で状況を確認して対処するのに20分。そして、署に戻って担当者のどちらかが報告書を書くのに10分かかるとする。つまり、合計で20分間×2人+20分×2人+10分×1人=90分。これに、身勝手通報の総数8万9381件を掛けると、延べ時間は13万4071時間30分となる。
 厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、日本人の年間平均労働時間は1738.8時間。これで身勝手通報に対処する134071.5時間を割ると、答えは77.1。つまり、身勝手通報によって77人もの警察官が、1年間無駄働きをさせられている計算だ。これだけの人手があれば、犯罪捜査や交通安全、子供の非行防止など、警察が本来手がけなければならない仕事も、そのぶんはかどるはず。また、警察官1人あたりの人件費を1000万円と仮定すれば、身勝手通報をゼロにすることで、7億7000万円を削減できると考えることもできよう。もちろん、これらは静岡県内だけのデータ。全国規模で考えれば、数字はさらに膨らむ。

 同様の問題は、救急車でも生じている。2010年5月26日付け中日新聞記事「静岡 安易な救急車利用抑制」では、救急車をタクシー代わりに呼ぶケースが増えてコストがかさんでいるため、静岡県内の自治体が救急車有料化の検討を始めたと報道。一方、消防庁の「救急車の適正な利用について」ページによれば、2008年の救急出場回数は1998年より38%増え、これに伴って救急隊の現場到着時間は6.0分から7.7分へと28%伸びている。やはり、身勝手通報によって社会的なコストが高まり、最終的なツケが住民全体に回されているのだ。

 無分別に行動し、公的サービスに過度な負担をかけた結果は、サービスの質の低下、あるいは金銭的な負担増という形で僕らの元に戻ってくる。このことは、もっと知られなければならない事実だ。また、単に身勝手通報をやめさせるだけでなく、不要な通報をしないことがインセンティブになるような仕組み作りも検討されていいと思う。
 例えば、公的サービスを点数制にするのはどうだろう? 1年ごとに一定の点数が住民に与えられ、その枠内では無料で行政サービス(救急車による搬送を含む)を受けられる。もし救急車を利用しなければ、その分、スポーツ施設や宿泊施設などの公的サービスが利用できるというわけだ。こうした仕組みがあれば、状況はずいぶん変わると思うのだが。

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