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2010年8月23日のアーカイブ
CD新譜1枚あたり生産金額は10年前の3分の1に~ライブ重視が進行中
- 2010年8月23日 21:30
- ニュースな数字
HMV渋谷:閉店 スガシカオがラスト唱
東京都渋谷区の外資系CDショップ「HMV渋谷」が22日をもって閉店した。インターネットでの音楽配信など音楽ソフトの販路が多様化し、若者を中心に起こったCD離れが背景にある。
HMV渋谷の閉店は、CD不況の象徴だ。
日本レコード協会の「全データ一覧」ページによると、CDの生産がピークに達したのは1998年。生産金額は5879億円だった。ところが、2009年のCD生産金額は2460億円。わずか10年あまりで、市場規模は41.8%に縮小してしまった。
ところが、発表される新譜の数は、10年前とさほど変わっていない。下の表は、1999年以降のCDアルバムの新譜数と生産金額、そして新譜1枚あたりの生産金額をまとめたもの。CD全体の生産金額は半減しているのに、新譜の数は、むしろ増加傾向なのがわかる。
| 新譜タイトル数 | 生産金額 | 新譜1枚あたり | 2001年との比較 | |
| 1999年 | 12573 | 4504億円 | 3582万円 | 94.6% |
| 2000年 | 11333 | 4264億円 | 3763万円 | 99.4% |
| 2001年 | 10808 | 4093億円 | 3787万円 | 100.0% |
| 2002年 | 10734 | 3713億円 | 3459万円 | 91.3% |
| 2003年 | 10933 | 3336億円 | 3051万円 | 80.6% |
| 2004年 | 12019 | 3166億円 | 2634万円 | 69.6% |
| 2005年 | 14136 | 3109億円 | 2200万円 | 58.1% |
| 2006年 | 15377 | 2937億円 | 1910万円 | 50.4% |
| 2007年 | 16146 | 2802億円 | 1736万円 | 45.8% |
| 2008年 | 15823 | 2513億円 | 1588万円 | 41.9% |
| 2009年 | 15054 | 2119億円 | 1408万円 | 37.2% |
2000年~2001年当時は、1枚新譜を出すと3800万円ほどの生産金額が期待できた。ところが、2009年には約1400万円にまで減少。2001年の3分の1近い水準だ。これでは、スタジオ中心のミュージシャンは厳しい。ここ数年目覚ましい成長をとげ、期待が集まっていた有料音楽配信市場も、2009年はゼロ成長。CD市場の縮小を、全く補い切れていない状況だ。
このあたりの事情は、売り上げの低下を補うため、新刊本を立て続けに発売する出版業界にそっくりだ。ただし、異なる点が1つだけある。出版界は電子書籍以外に進むべき道はないが、音楽界は有料配信以外の戦略を取ることも可能。それが、「ライブ」だ。
例えば、2009年9月3日付けロイター記事「マドンナのツアー興収、ソロとして過去最高を更新」では、マドンナが1回のツアーで377億円の興行収入をたたき出したと伝えている。実に、日本で1年間に売れるCDの15%に相当する金額だ。国内でも、2010年7月9日付け日刊スポーツ記事「EXILE史上最大の110万人ツアー」で報道されているように、100億円規模のツアーを敢行するアーティストが登場しつつある。
1枚1000円のシングルCDを100万枚売ると、売り上げは10億円。これに対し、ライブの客単価は、入場料と飲食・物販などの関連収入を合わせれば1万円を超える。10万人を動員すれば、CDでミリオンセラーを出すよりずっと大きな収入を期待できるのだ。
今後の音楽界では、間違いなく、スタジオからライブへのシフトがさらに加速する。そして、ライブでのパフォーマンスに強みを持つアーティストが、より存在感を増していくはずだ。HMV渋谷の閉店はCD不況の象徴だが、それは音楽不況と等価ではない。CDショップからライブハウスへ、音楽ファンの集まる場所が変わる現状の、象徴でもあるのだ。
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