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燃料費すらまかなえない「5000円LCC」だが、広告費としては十分価値あり

エアアジア羽田―マレーシア便12月から 片道5千円も

 アジア最大手の格安航空会社(LCC)であるマレーシアのエアアジアは21日、羽田空港と同国の首都クアラルンプールを結ぶ路線を12月9日から週3便運航すると発表した。羽田に乗り入れる初のLCCで、9月23日正午から片道5千円のキャンペーン運賃を自社サイト(www.airasia.com)で発売する。

(2010年9月21日 朝日新聞)

 格安航空会社の日本進出が活発になっている。先日も、「春秋航空:上海-茨城、片道4000円の航空券を発売」(8月25日付け毎日新聞記事より)という報道がなされて話題になったばかりだ。
 5000円。新幹線などの有料列車を使わず、JRの普通列車だけを利用した場合、東京から豊橋(4940円)、長野(4940円)、福島(4620円)などへの運賃に相当する。この金額で、羽田から5000キロメートル以上離れたクアラルンプールに行けるというのだ。あまりに凄すぎて笑ってしまった。

 さて、5000円という運賃では、実は燃料代すら出ない。あくまでお遊びではあるが、1人あたり5000円で飛行機を飛ばした場合の収益を、ざっと計算してみよう。

 Wikipediaのエアアジアのページによると、同社の使用機材はエアバスA320-200。定員は180人とあるから、満員になったとしても180人×5000円=90万円の売り上げだ。
 一方、米エネルギー情報局(EIA)の「Singapore Kerosene-Type Jet Fuel Spot Price FOB (Cents per Gallon)」ページによれば、2010年8月時点のジェット燃料価格は、1ガロンあたり207.64セント。換算すれば、1リットルあたり0.55ドル=47円ほどになる。これに対し、羽田からクアラルンプールまでの直線距離は、約5200キロメートル。WikipediaのエアバスA320のページを見ると、同機の最大燃料容量は約2万4000リットル。航続距離は最大5700キロメートルだから、クアラルンプールまでの道のりで積載燃料のほぼ全てを使い切る計算だ。つまり、2万4000リットル×47円=112万8000円。クアラルンプールまでの燃料代だけで、これだけかかるのである。
 90万円の売り上げに対し、燃料費だけで112万8000円。この時点で、既に足が出ているのだ。さらに、乗員や地上要員の人件費、整備費、空港などの使用料なども必要。これは赤字ではなく、大赤字である。

 もちろん、5000円というのはキャンペーン価格。この価格で登場できるのはごく一部の乗客だけだ。しかし、インパクトは十分。僕もこのニュースに接して、エアアジアという企業の存在をはっきりと意識した。
 エアアジアのニュースは、上で紹介した朝日新聞記事以外にも、たくさんの媒体で伝えられている。それらを媒体換算すれば、少なくとも数千万円規模の価値があるだろう。数百万円程度の赤字など、あっという間に元が取れるのかもしれない。

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コメント:2

BLITZ 2010年9月22日

ANAでは、羽田-伊丹を5000円で計画。
来年新しい会社で実施のようです。

格安料金は、利用者にとってはありがたいけど、安全面はどうなんでしょうね。
狭い座席もしんどいかもで、長時間は苦痛かもしれない。

白谷 2010年9月22日

BLITZさん、こんにちは。
.
東京-大阪間は、高速バスなら3000円台からありますよね。
ANAの5000円という価格設定は、競争上ギリギリのところなんでしょう。
.
安全性については、まあ、不安ですよねえ。
乗り心地についても、エコノミー症候群のリスクが高そう。
羽田-伊丹くらいの短距離なら耐えられますが、
クアラルンプールはパスだなあ。
「青春18切符」で旅行していた頃なら、
喜んで使ったんでしょうけどねえ(^^;

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