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まるで「威力偵察を受けて退却」レベルの弱腰~中国漁船船長釈放問題

中国漁船の船長釈放、心底がっかりしました。
これは、後世に語り継がれるべき失政です。

一般に偵察といえば、敵の様子をこっそり探る
「隠密偵察」をイメージする人が多いでしょう。
でも、偵察にはもう1種類ありますよね。
敵に対して小規模な戦いを仕掛け、
その戦力や布陣を調べる「威力偵察」です。

ここしばらく、中国が日本に対して仕掛けてきたことは、
典型的な「威力偵察」だったと思うのです。
普天間基地問題などを通じ、日本と、
日本にとって最大の後ろ盾であるアメリカとの溝は深まっている。
また、民主党政権には政治のプロが少なく、
その上、党内政治ばかりにかまけている。
弱体化している日本の政治状況を見て、
中国側は、日本にどの程度ガタがきているのか、
見極めようとしたわけです。

で、中国は、多少強い外交カードを日本に対して切った。
これに対し、日本政府は驚くほどの弱腰を見せました。
中国人船長が違法行為をしたかどうかではなく、
「政治判断」で船長の釈放を決めたのです。

中国側からみれば、まさに望外の戦果だといえるでしょう。
威力偵察をかけたら、敵軍が慌てふためいて全面退却したようなもの。
富士川の戦いで、鳥の羽音を聞いて潰走した平家軍を彷彿とさせます。
日本人にはもう、イタリア軍の弱さをあざ笑う資格などないですね。

今回の日本政府が非難されるべきは、ただ一点。
「その行為が正しいか正しくないか」ではなく、
「相手との力関係が強いか弱いか」で、行動を決めてしまったことです。
これは、誰からも尊敬を受けられない行為。
彼女と街に出かけた際にチンピラにからまれ、
彼女を置いて逃げてしまうくらいのていたらくですぜ。
お前にプライドってもんはないのかと。

日本はものを持たない国です。
資源はもちろん、食料だって自給できないような国。
こんな国が鎖国なんかしたら、すぐに立ち枯れてしまいます。
だから僕は、周囲の国と友好関係を築くことは
当然大事だと考えているわけです。
でも、隣国と仲良くすることと、その言い分を唯々諾々と聞くことは違う。
それは「友好関係」ではなく、「主従関係」です。

日本はものを持たない国。
だから、技術力やソフトパワーといった「こと」を売るしかないんです。
日本には、海外に誇れる「こと」がたくさんある。
例えば、環境技術だったり、映画・アニメ・音楽だったり、
日本料理だったり、「おもてなし」のノウハウだったり……。
そういった「形のない特産品」を輸出して、資源を買うべき国なのです。
でも、そのためには日本自体が尊敬されなくてはならない。
技術力やソフトの源は人。
結局、我々は人を買ってもらうわけですが、
尊敬されない国の人材を高く売るのは、
ものすごく難しいことです。
だから、日本が「尊敬される国」であることは、
ものすごく大切なことだと思うんです。

今回の日本政府の対応は、短期的には中国との対立を緩和したかもしれない。
でも、長期的にみれば、日本人の誇りを大きく傷つけてしまった。
それは、本当に大きな損失です。

今回の判断を下したであろう民主党政権の人々の名は、
しっかりと心に刻み込んでおきます。
彼らには二度と投票しない。
同時に、この問題に対して他の政治家がどのように対処するのか、
しっかり見極めておくつもりです。

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コメント:2

2010年9月25日

のこのこ秋の「しろい谷」に出没してまいりました熊です。 民主党は政治主導を金科玉条としています。が、それを本当に実現しようとすると大統領制にするしかないと思うのです。5~6年同じトップが、実現しようとする政策を、心を同じにするスタッフ(官僚)と押し進めてゆく。しかし日本の場合は今まで官僚主導でやってきた。それを突然政治主導と言いだしても、それに対応するようには組織は出来ていないのです。しかも主導する政権の中の人が違う夢を見ている状態では、実務を担当する官僚は困ってしまいます。今回も良い悪いは別にして、自民党時代なら、外務官僚が自主的に動いて、とっとと国外退去にするなり、中国高官と根回しをしていたのではないかと思うのです。しかし政権が政治主導を金科玉条とするため動きたくても動けなかったのではないか?と思うのです。そのあたりも含め政府、党、外務官僚、地検、海保などが全てバラバラに疑心暗鬼に作業を進めていた可能性があります。分裂政権ですね。そう妄想しております。
もう一つ、小沢氏です。彼は春に中国に大名行列をしたわけです。いったいあの時何をしてきたんでしょう?本来ならここはしゃしゃり出てくるべきところです。政治生命を掛けて表に出てこなくてはならないはずです。そういう行動を春にしてきたわけです。それが見て見ぬふりをしていらっしゃる。役立たずですね。動こうとして止められた?そういう気配を感じないのですが。

(根拠を持ち合わせていませんので無責任な言説だとは思いますが。)

白谷 2010年9月26日

熊さん、こんにちは。
.
当ブログの5月29日付け記事「竹下首相以降の平均在職日数は
1年半~短すぎる国家元首の『寿命』」で触れたのですが、
1989年からの約20年間で、日本の元首は16人も登場しています
(記事を書いた時点では15人でしたが、さらに菅首相が追加)。
これに対し、韓国の元首は5人、アメリカは4人、中国は3人。
熊さんが仰るとおり、これだけトップが変わったら、
官僚も動きようがないですよね。
トップが5~6年間固定される大統領制、
十分に検討に値すると思います。
.
一方で、今の民主党のトップ(首相なり外相なり、
元首相なり「陰の実力者」なり)が大統領になり、
そのまま5~6年も変えられないままだったらどうしようという、
不安な気持ちもありますけどね(^^;。
.
個人的には、優秀な人が政治家を目指したがるように、
政治家の待遇などを変更すべきだと思うのですが。
現在の政治家は、リスクに比べて待遇が悪すぎると思います。
これじゃ、優秀な人から敬遠されちゃうと思うんですよね。

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