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児童福祉司1人あたりの対応件数は、10年間で93%増加

福祉司の94%が過大負担実感 児童虐待対応で

 都道府県や政令指定都市などの児童相談所で児童虐待問題を担当する児童福祉司のうち94%が、児童虐待への対応業務について負担の大きさを実感していることが7日、総務省が公表した意識調査で明らかになった。児童相談所と連携するなどで問題に当たる市区町村の担当職員も77%が負担の大きさを感じていると訴えており、各自治体は体制の再構築を迫られそうだ。

(2010年12月7日 47NEWS・共同通信)

 上の47NEWS記事のネタ元は、総務省の「児童虐待の防止等に関する意識等調査結果」。急増する児童虐待に直面し、児童福祉司などのナマの声が伝えられている。

 調査によれば、児童福祉司の91.4%が「被虐待児童に対する支援に困難を感じることがある」と答えている。その理由として最も多く挙げられているのが、「人員配置に余裕がなく、きめ細やかなケアを行う時間がないから」というものだ。また、上の記事でも紹介されているように、94.0%の児童福祉司が、児童虐待対応に対して「負担が非常に大きいと思う」もしくは「負担が大きいと思う」と回答している
 それもそのはず。1人の児童福祉司が対応する児童虐待の件数は、年々増えているからだ。下の表は、内閣府の「少子化対策ホームページ」内にある「子ども・子育て新システム検討会議作業グループ 基本制度ワーキングチーム 第2回会合」の資料から、1999年以降の児童虐待相談対応件数と児童福祉司数を抜粋したもの。また、相談対応件数を児童福祉司数で割った「1人あたり件数」も算出した。

  相談対応件数(A) 児童福祉司数(B) 1人あたり件数(A÷B)
1999年 1万1631件 1230人 9.5件
2000年 1万7725件 1313人 13.5件
2001年 2万3274件 1480人 15.7件
2002年 2万3738件 1627人 14.6件
2003年 2万6569件 1733人 15.3件
2004年 3万3408件 1713人 18.4件
2005年 3万4472件 1989人 17.3件
2006年 3万7323件 2139人 17.4件
2007年 4万0639件 2263人 18.0件
2008年 4万2664件 2358人 18.1件
2009年 4万4201件 2428人 18.2件

 1999年から2009年までの10年で、児童虐待の相談対応件数は3.8倍に増えた。一方、児童福祉司数の増加は、2.0倍にとどまっている。その結果、児童福祉司1人あたりの対応件数は、9.5件から18.2件へと93%増加。これだけ仕事量が増えれば、現場が疲弊するのは当然のことだ。

 ベテランの不足も深刻だ。調査によれば、「児童虐待に対して適切な判断を下すために、3年以上の経験が必要」と答えた児童福祉司は41.6%、「5年以上の経験が必要」と答えた児童福祉司は32.0%いた。一人前になるまで3~5年かかるというのが、現場での共通認識なのだろう。これに対し、2009年度末時点で経験年数が3年以上の児童福祉司は、43.3%に過ぎないという。
 ベテランは数多くの案件を抱えて疲れ果て、経験の浅い人は自らの判断に自信を持てないまま対応に駆り出される。調査結果からは、そんな現場の様子が浮かび上がってくる。

 ところで、「児童虐待の防止等に関する意識等調査結果」によれば、1人の児童福祉司が常時受け持っている児童虐待事例の件数は、平均で31件だという。これは、何を意味するのか?
 上で紹介した「18.2件」(2009年)とは、年間の相談対応件数を児童福祉司の人数で割ったもの。「31件」は、これより7割ほど多い。つまり、児童福祉司が担当している案件の中には、1年以内には終わらず、長期にわたって対処しなければならないものが相当数含まれているということなのだろう。
 児童虐待の発生要因は、「保護者の養育能力の不足」「複雑な家族構造」「家庭の経済的貧困」「保護者の精神疾患」「保護者の地域からの孤立」など。これらは全て、一朝一夕に解消するのは不可能。地方自治体や病院、警察、学校などと協力しながら、長い時間をかけて対処しなければならない性質のものだ。しかし、「関係機関との連携が十分機能している」「どちらかといえば機能している」と答えた介護福祉士は21.5%。こちらの局面でも、状況は芳しくない。

 日本は資源がない国。人材を売るより他に道はない。だから、子育て環境の整備には最優先で資源を配分すべきというのが、僕の基本的な立ち位置だ。この問題に関しても同様。現状を打開するには、児童福祉司を増員し、同時に、彼らを支援するための仕組みを強化するしかない。要は、予算をつけなきゃいかんのである。

 個人的には、今話題になっている法人税減税などの施策より、児童福祉司増の方がずっと大事な課題だと思うんだけどなあ。

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