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中国の対外直接投資額は全世界の5.3%~過剰な「脅威論」は禁物

中国の海外投資、4兆9千億円 「資源買い」で過去最高

 中国商務省は18日、中国から海外への2010年の直接投資額が前年比36・3%増の590億ドル(4兆9千億円)と、過去最高を記録したと発表した。海外の資源企業買収が目立ち、中国が「資源買い」を加速している実態が浮き彫りになった。

(2011年1月18日 47NEWS・共同通信)

 中国の人口は13億人で、世界一多い。しかもここ数年、国民の生活水準は急速に高まっている。彼らの暮らしをまかなうため、資源の輸入量が増えるのは当然のことだ。
 例えば原油。1990年代初めまで、中国は原油輸出国だった。ところが、1993年以降は輸入国に転じている。そして、2008年6月27日付けチャイナネット記事「中国、日本を上回り世界で2番目の原油輸入国に」にあるとおり、2008年には世界2位の原油輸入国になった。自動車の普及や工業化が進めば、石油の需要はさらに高まるだろう。原油の産出国に投資し、利権確保を図る機会も増えるに違いない。
 こうした動きは、日本にとって脅威だ。中国が世界中で資源を買いあされば、同じく資源輸入大国である日本にとって、手強い競合となる。鉱物資源だけでなく、穀物や肥料、水産資源などの確保は、今後ますます難しくなるはずだ。また、2010年12月12日付けMONEYzine記事「なぜ人気? 中国人、日本の森林を相次いで買収」のように、水資源確保のため、中国が日本の森林を買う動きを伝える記事も増えている。

 ただ、中国の脅威を過大に見積もるのは誤りだ。2011年1月18日付けChina Press記事「2010年度世界海外投資総額:1兆1220億ドル」にあるように、2010年における全世界の対外直接投資額は1兆1220億ドル。うち、中国分は590億ドルで、全体の5.3%に過ぎない。今後、この比率が膨らむ可能性は十分にある。しかし、現時点で過剰な「中国脅威論」を煽るのは、正しい態度だとは言えまい。
 ちなみに、日本貿易振興機構(JETRO)の「世界の対外直接投資(フロー)上位20カ国・地域」ページによれば、バブル景気末期の1990年、世界の総対外直接投資額は2415億ドルだった。これに対し、日本の対外直接投資額は508億ドル。実に、全世界の21.0%を日本が占めていたわけだ。当時は、三菱地所がロックフェラー・センターを買収(1989年10月)するなど、日本が世界中の不動産を物色していた時期。アメリカ人が日本に対して感じていた「脅威」は、今、僕らが中国に抱いているものより大きかったのかもしれない。そして、彼らの「日本脅威論」が杞憂にすぎなかったのは、ご存じの通り。

 中国の世界戦略には、しかるべき対策を立てるべきだ。ただ、いたずらに中国の脅威を煽るのは、百害あって一利なし。特に報道機関には、冷静な分析を求めたいと思っている。

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