ホーム > ニュースな数字 > 3D映画のヒットで、上位10作品の「占有率」は11.7%アップ

3D映画のヒットで、上位10作品の「占有率」は11.7%アップ

映画興行収入、過去最高2200億円 アバターなど3Dがトップ3

 日本映画製作者連盟(映連)が27日発表した2010年の全国映画概況によると、邦画と洋画を合わせた興行収入の総額は、前年比7・1%増の約2207億円となり、過去最高を更新した。

 洋画のトップは「アバター」の156億円で、「アリス・イン・ワンダーランド」(118億円)、「トイ・ストリー3」(108億円)と、3D作品が100億円を超え、トップ3を独占した。邦画のトップは、スタジオジブリのアニメ「借りぐらしのアリエッティ」の92億5000万円だった。

(2011年1月27日 msn産経ニュース)

 2011年1月27日付けmsn産経ニュース記事「出版不況止まらず 昨年の販売額1兆8748億円 6年連続減 二極化進む」では、「突出して売れる本と、それ以外の二極化が顕著」という出版科学研究所のコメントが伝えられている。出版業界に身を置く者として、実に得心がいく話。内容がどうというより、話題について行くために本を買う。そんな消費行動をとる人が、このところ増えているように感じるのだ。
 ヒット作・話題作とそれ以外に二極化する動きは、出版業界に限らないのかもしれない。ゲーム業界ではソーシャルゲームなどのコミュニケーション重視型ゲームが勢力を拡大中。今後は、特定のゲームにプレイヤーが集中する傾向が強まると見る。音楽業界も、2010年12月20日付け当ブログ記事「AKB48と嵐のおかげで、CDシングルの総売上は2006年以来の増加に」で紹介したように、嵐とAKB48がCDシングルの年間ランキングを独占した。

 だが、2009年までの映画業界は、こうした動きとは逆行していた。「飛び抜けた大ヒット作」に観客が集中するのではなく、中ヒット・小ヒット作が数多く生まれる傾向があったのだ。
 そのあたりの事情を分かりやすくしたのが、下の表。日本映画製作者連盟の「最新映連発表資料」ページを基に、興行収入50億円以上の作品数、洋画・邦画を合わせた上位10作品の興行収入の合計、全映画作品の興行収入合計をまとめた。また、上位10作品の興行収入を全映画の興行収入で割った「上位10作品の占有率」(以後、単に「占有率」と書く)も算出した。

  50億円以上作品 上位10作興収(A) 全映画興収(B) 占有率(A÷B)
2001年 4本 776億円 2002億円 38.8%
2002年 8本 945億円 1968億円 48.0%
2003年 8本 890億円 2033億円 43.8%
2004年 8本 981億円 2109億円 46.5%
2005年 6本 737億円 1982億円 37.2%
2006年 11本 735億円 2029億円 36.2%
2007年 6本 627億円 1984億円 31.6%
2008年 4本 604億円 1948億円 31.0%
2009年 4本 518億円 2060億円 25.2%
2010年 7本 815億円 2207億円 36.9%

 下のグラフは、占有率の推移だけを抜き出したもの。

上位10作品の占有率

 占有率がピークに達したのは、「ハリー・ポッターと賢者の石」「ハリー・ポッターと秘密の部屋」が大ヒットした2002年。占有率は48.0%で、10作だけで総興行収入の半分近くを稼いでいた。ところが、その後は右肩下がりになり、2009年には25.2%まで低下。また、興行収入が50億円を超える大ヒット作も、このところ減少傾向だった。一方、全映画の興行収入は決して下がっていない。つまり、観客が少数のヒット作に群がるのではなく、多くの作品に分散するようになったのだ。

 ところが2010年の占有率は、前年に比べて11.7%上昇。グラフは6年ぶりに反転した。原因は、「アバター」「アリス・イン・ワンダーランド」「トイ・ストーリー3」という3D映画の3作品が、100億円以上の興行収入をたたき出したからだ。
 これらの作品が客を集めたのは、いわば「3D特需」の恩恵だ。例えば、「アリス~」の興行収入は118億円。しかし、個人的な意見を言わせてもらえば、作品の出来自体はさほどのものではない。仮に2Dで制作したら、同じティム・バートン監督作品の「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)の興行収入53.5億円を上回るのは難しかったのではないか。

 来年の映画業界では、さらに3D作品の割合が高まるだろう。そうなれば、3Dというだけで客を集めることはできなくなる。そのとき、上位10作品の占有率は再び下がるのか。あるいは、他の業界と同様に、特定作品への集中度を高めるのか。要注目だ。

—-
※2つのブログランキングに参加中です。下のバナーをクリックしていただけると嬉しいです。

人気ブログランキングへ にほんブログ村 ニュースブログへ

—-

関連する記事:


コメント:0

コメントフォーム
入力した情報を記憶する

トラックバック:0

この記事のトラックバック URL
http://www.shiratani.net/2011/01/27/3d%e6%98%a0%e7%94%bb%e3%81%ae%e3%83%92%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%a7%e3%80%81%e4%b8%8a%e4%bd%8d10%e4%bd%9c%e5%93%81%e3%81%ae%e3%80%8c%e5%8d%a0%e6%9c%89%e7%8e%87%e3%80%8d%e3%81%af11-7%ef%bc%85%e3%82%a2/trackback/
トラックバックの送信元リスト
3D映画のヒットで、上位10作品の「占有率」は11.7%アップ - 白谷のノート(3冊目) より

ホーム > ニュースな数字 > 3D映画のヒットで、上位10作品の「占有率」は11.7%アップ

注意書き
 このサイトはリンクフリーです。個別記事への直リンクも問題ありません。引用については、ルールの範囲内でどうぞ。
 記事に誤りなどがあれば、コメント欄、または書き手についてページ内のメールフォームを使ってお教えいただけると、大変ありがたいです。
 初めてコメントをご投稿いただく場合、管理人の承認が行われるまで表示されないことがあります。時に、承認まで数日かかることもありますので、あらかじめご了承ください。
書き手について、他
検索
過去に書いたこと
ブックマークとRSS

全ての記事(RSS2.0)
全ての記事(Atom)
全てのコメント(RSS2.0)


過去につぶやいたこと
つぶやいたこと

ページの上部に戻る