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東京電力の経営陣には大企業経営者としての「覚悟」が欠けている

2011年1月6日付け当ブログ記事
「プロ野球全選手の年俸総額は、20年前に比べて2.76倍に増加」
などでも触れていますが、
僕は「報酬」を、感謝の量に比例して与えられるべきものだと考えています。

例えばある人は、5人に対して各10万円分の貢献をし、
月に50万円の報酬を手にする。
別の人は、50万人に各1円分の貢献をして、
やはり、月に50万円の報酬を手にする。
そのように、誰か他の人のために役立った分だけ、
お金をもらえる仕組みが望ましいと思っています。
(ちなみに、投機などで財産を築いたような人には、
莫大な税金を支払うことで世の中の役に立って欲しいですね。)

だから、多くの人に多くの幸せを与えられる人が、
高収入を得るのは当然のことだと思っています。
例えば、優れたスポーツ選手やミュージシャン。
あるいは、(毀誉褒貶ありますが)孫正義さんのように、
たくさんの人の暮らしを便利にした人。
彼らが高収入を得るのは正当なことです。
政治家も、同じカテゴリーに入る仕事でしょう。
もちろん、きちんと仕事をしているという前提付きではありますが。

逆に言えば、多くの人を不幸にした人は、
それなりのペナルティを支払うのが当然だと思うのです。
例えば、スパムメールを送りつける業者。
一人ひとりに与えている迷惑は小さいかもしれませんが、
すべてのネットユーザーにかかっている負荷を合計すると、
とんでもない量になるはず。
こうした業者には、億を超える規模の罰金が科されてしかるべきです。

****

さて、今回の東京電力の原発事故。

僕は、東京電力従業員の給与引き下げには、慎重な立場です。
彼らは、福島原発の処理というリスクの高い仕事を抱えています。
その上、給料まで大幅ダウンしたら、優秀な人ほど転職を考えるでしょう。
仮に原発を廃止するにしても、廃炉までには数十年もの期間がかかります。
その間、安全に原発を管理するためには、
東京電力は優秀な人材を確保し続ける必要があるのです。

しかし、経営陣の報酬は、全く別の話です。

2011年4月27日付け読売新聞記事
「役員報酬半減、大変厳しい数字…東電の清水社長」は、
東京電力の清水社長が、役員の報酬を50%削減することに対して
「大変厳しい数字と考えている」とコメントしたと伝えています。
これは、とんでもない、ふざけきった認識だと考えます。

確かに、今回の原発事故は、
100年に1度とも言われる大津波が原因でした。
その点、東京電力には同情の余地がある。
ただ、東京電力の対応のまずさが、
事故を拡大してしまった事実は否定できません。
その結果、福島県民をはじめ、多くの人々が影響を受けました。
たくさんの人に多大な迷惑をかけたのだから、
それにふさわしい責任の取り方があると思うのです。

役員報酬は100%カット。
退職金についても、全額辞退して義援金に充てる。
それは、経営者として最低限のラインなのではないですかね?

大企業の経営者には、多くの人々を幸せにする力があります。
それが、彼らが高い報酬を得ている根拠なのです。
だからこそ、己の経営責任で多くの人々を不幸にしたら、
それ相応のペナルティを支払うのが筋。

そうした経営者としての「覚悟」が、
東京電力の経営陣には欠けているように見えます。

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コメント:6

BLITZ 2011年4月29日

東電の清水社長の年収は7千万とか8千万とか。
49人の役員にしても、かなりの高給取りであることは違いないですね。

昨日の社長の報酬カットの記事を見て、正直がっかりでした。
確かに東電も震災による大きな被害に遭ったけど、あくまでも被害者意識なんですね。
福島県民や国民に対する責任や誠意のなさを感じます。
巨大企業経営陣の体質なのかもしれません。
海江田さんの言う「まだまだ甘い」に頷きます。

白谷 2011年4月29日

BLITZさん、こんにちは。
.
東京電力の経営陣が反省の姿勢を見せることは、
従業員を守るためにも大事だと思うんですよ。
原発事故によって、同社の役員・従業員は、
今でもかなり肩身の狭い思いをしていると聞きます。
こうして東電役員が誠意のない態度を続けていると、
原発事故の被災者から、さらに憎まれる危険性があると思うんですよね。
従業員の家族が近隣からいじめを受けたというニュースを
目にしたことがありますし、
もっと恐ろしいことが起こらないとも限りません。
もう少し、配慮して欲しいんですけどね……。

かめかめ 2011年4月30日

件の電力会社の役員報酬全廃について、異論ございません。
私がかねてより気になっているのは、不祥事の原因を看過した人間と、その後不祥事が発覚して責任を取らされる人間が、えてして一致しないことです。
昭和に作ったできの悪い原発の責任を、平成の役員が責任を負うのも、本当はちがうんじゃないでしょうか。本当に責められるべきは、ちょっと歴史を調べりゃすぐわかる津波を「想定」せずに原発を作った技術陣と、それを見抜けず(あるいは指示して?)OKを出した当時の役員や株主、役所ではありますまいか。企業や役所のみならず、自治会やPTA、親兄弟にいたるまで「先人の尻拭い」をし続けてはいませんか。
この無責任体質。マスコミがしっかりしていれば「社会的制裁」で補完できるのでしょうが、期待できません。刑事・民事ともに「終身責任制」を敷いて、死ぬまで責任がついて回るシステムにしないと、ピリッとしないと考えています。

白谷 2011年4月30日

かめかめさん、こんにちは。
.
ご指摘いただいた「終身責任制」、なるほどとひざを打ちました。
重い責任を負う人に、それに見合ったリターンを与えるという前提は必要ですが、
とても筋が通った仕組みだと思います。
.
恐らく、福島原発が建設された当時からの、
東京電力の歴代経営者、原発プロジェクトを推進した
主だった政治家や学者、役人などのリストは、
誰かが作っているのだろうと思います。
本当は、そうしたリストに名を連ねている人たちが、
自主的に責任を取ってくれるといいと思うんです。
ただ、そうした心意気を期待するのは難しいのかなあ。
そうなれば、法律などを拵えて、
仕組みを作っていくしかないのでしょうね。

くま(くまおま) 2011年4月30日

僕は仕組みに目が行っちゃうんですよね。エネルギーが国の基幹の一つなのは昔も今も間違いないわけで、それを一企業にまかせっきりにしてきたのがどうも解せないのです。今回の問題が起きた時に、国に技術者が居て、問題解決するとか、国に事故を想定して発電機を自衛隊のヘリで運ぶとか、そう言うのが何故出来なかったのだろうか?と思う訳です。SWATがテロリストを潰す時に彼らのアジトとか占拠した建物と同じ構造物をつくり、訓練して実戦に行くじゃないですか。同じ様に日本で稼働している主な原発施設と同じ大きさの構造物を幾つか用意してあって、事故現場を即再現して訓練して送りこむ、あるいは事故処理の方法を編み出して訓練して送りこむ、とか出来そうなもんなんだが。そうい物を考えてやってこなかった歴代の国の関係者にも大きな責任があると思う。
それはさておき、「原発施設は安全だから、事故処理の訓練をすると矛盾し、原発反対派が騒ぐから訓練が出来なかった」と言う屁理屈を、アホか!とねじ伏せて訓練してこなかった脳足りんはどこのどいつらだ!
さらに原発反対派こそ、絶対事故起こるんだから防災訓練、事故処理訓練をやってくれ!と、何故泣いて頼まなかった?お前ら反対派も責任をとれ!

白谷 2011年5月1日

くまさん、こんにちは。
日本人には、ねばり強さがないんでしょうね。
派手好みで、熱しやすく冷めやすい。
一度の失敗で、ポキリと折れてしまう。
リスクの存在を常に意識し、地道に準備をすることが、
国民性として苦手なのでしょう。
だから、原発に関するもろもろの準備も、
面倒くさくなって考えるのを止めてしまったように思えます。
.
話はちょっとずれますが、
原発を巡る議論などでは、
ゼロかイチかという主張が目立つように思います。
でも、リスクを最小化してリターンを最大化する解は、
ゼロとイチの中間にあるはずなんですよね。
そういう議論を、僕らはしなきゃいけないと思うんです。

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