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白谷のノート(3冊目)

1日15m掘り進めば、地下700mの33人を救助できるのは47日目

「元気だが空腹」…チリ落盤事故、通話に成功

 【リオデジャネイロ=浜砂雅一】南米チリ北部コピアポ近郊の鉱山の地下約700メートルの避難所に作業員33人が閉じこめられた落盤事故で、チリのゴルボルネ鉱業相は23日、救助隊が作業員らと電話ケーブルを通じて会話に成功したことを明らかにした。
 作業員らは「みんな元気で、空腹だ」と話し、食料の供給や換気対策などを求めたという。

(2010年8月24日 読売新聞)

 読んでいるだけで胸が苦しくなってくるようなニュース。

 記事によれば、避難所の広さは約50平方メートル。わずか15畳ほどの場所に、33人の成人男性が閉じこめられているわけだ。気温・湿度は高く、換気も十分ではない。救出用の穴を掘る掘削機が用意されたが、避難所に到達するまで3~4カ月かかるらしい。
 状況は非常に厳しい。しかし、希望はある。事故が起きたのは今月5日。つまり、半月以上、外部との連絡も補給もなしで、彼らは生き延びてきたのだ。また、8月24日付け朝日新聞記事「33人生き埋め救出、チリ保健省がNASAに協力要請」中の図版を見ると、落盤が発生したのは地下400~500メートル付近。避難所からはそれなりに離れている。ということは、安全性は劣るかもしれないが、避難所周辺の坑道も生存スペースとして利用できるということだろう。使える領域がわずか50平方メートルなら、ゴミや糞尿の処理にも困難が伴うし、伝染病などが発生した場合に著しく不利。しかし、その何倍ものスペースがあれば、対処の幅はグッと広がる。
 さらに、電話ケーブルや、食料などをやりとりできるパイプが設置されたことは大きい。外部との絆が持てたことで、彼らのには精神的余裕が持てるようになったはず。人が生きるのに最も力となるのは、希望なのだ。この希望を支えにして、彼らにはなんとか、あと3カ月を生き延びて欲しい。

 ところで、上述の朝日新聞記事で報道されているとおり、チリ政府はNASAに協力を要請するという。宇宙飛行士が宇宙ステーションで長期間過ごす際のノウハウが、作業員が生き抜くために役立つかもしれないからだ。日本でも、技術やノウハウを提供できないものだろうか? 例えば宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「若田宇宙飛行士による軌道上遠隔医療の技術実証」や、国立極地研究所と共同で「南極と宇宙に共通する過酷な環境下での健康管理に関する医学研究」などを行っている。また、原子力燃料の企業・公益法人などから、素早く坑道を掘る技術などを提供できないだろうか。テレ朝NEWSの「チリ鉱山事故 地下700Mからの救出早くて2カ月後」によると、救助用の穴を掘るための掘削機は、1日で最大15メートル掘り進めるらしい。700メートル÷15メートル=46.7日と考えれば、最短で47日目に救助できる計算だ。もし、1日に掘り進める距離が長くなれば、それだけ作業員が救われる可能性は高くなる。

 ただ金を出すだけのODAより、今回のようなケースで救いの手をさしのべる方が、よっぽど国際貢献になると思うのだ。政府には、ぜひ機敏に動いて欲しいのだが……。

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CD新譜1枚あたり生産金額は10年前の3分の1に~ライブ重視が進行中

HMV渋谷:閉店 スガシカオがラスト唱

 東京都渋谷区の外資系CDショップ「HMV渋谷」が22日をもって閉店した。インターネットでの音楽配信など音楽ソフトの販路が多様化し、若者を中心に起こったCD離れが背景にある。

(2010年8月23日 毎日新聞)

 HMV渋谷の閉店は、CD不況の象徴だ。
 日本レコード協会の「全データ一覧」ページによると、CDの生産がピークに達したのは1998年。生産金額は5879億円だった。ところが、2009年のCD生産金額は2460億円。わずか10年あまりで、市場規模は41.8%に縮小してしまった。
 ところが、発表される新譜の数は、10年前とさほど変わっていない。下の表は、1999年以降のCDアルバムの新譜数と生産金額、そして新譜1枚あたりの生産金額をまとめたもの。CD全体の生産金額は半減しているのに、新譜の数は、むしろ増加傾向なのがわかる。

  新譜タイトル数 生産金額 新譜1枚あたり 2001年との比較
1999年 12573 4504億円 3582万円 94.6%
2000年 11333 4264億円 3763万円 99.4%
2001年 10808 4093億円 3787万円 100.0%
2002年 10734 3713億円 3459万円 91.3%
2003年 10933 3336億円 3051万円 80.6%
2004年 12019 3166億円 2634万円 69.6%
2005年 14136 3109億円 2200万円 58.1%
2006年 15377 2937億円 1910万円 50.4%
2007年 16146 2802億円 1736万円 45.8%
2008年 15823 2513億円 1588万円 41.9%
2009年 15054 2119億円 1408万円 37.2%

 2000年~2001年当時は、1枚新譜を出すと3800万円ほどの生産金額が期待できた。ところが、2009年には約1400万円にまで減少。2001年の3分の1近い水準だ。これでは、スタジオ中心のミュージシャンは厳しい。ここ数年目覚ましい成長をとげ、期待が集まっていた有料音楽配信市場も、2009年はゼロ成長。CD市場の縮小を、全く補い切れていない状況だ。
 このあたりの事情は、売り上げの低下を補うため、新刊本を立て続けに発売する出版業界にそっくりだ。ただし、異なる点が1つだけある。出版界は電子書籍以外に進むべき道はないが、音楽界は有料配信以外の戦略を取ることも可能。それが、「ライブ」だ。
 例えば、2009年9月3日付けロイター記事「マドンナのツアー興収、ソロとして過去最高を更新」では、マドンナが1回のツアーで377億円の興行収入をたたき出したと伝えている。実に、日本で1年間に売れるCDの15%に相当する金額だ。国内でも、2010年7月9日付け日刊スポーツ記事「EXILE史上最大の110万人ツアー」で報道されているように、100億円規模のツアーを敢行するアーティストが登場しつつある。

 1枚1000円のシングルCDを100万枚売ると、売り上げは10億円。これに対し、ライブの客単価は、入場料と飲食・物販などの関連収入を合わせれば1万円を超える。10万人を動員すれば、CDでミリオンセラーを出すよりずっと大きな収入を期待できるのだ。
 今後の音楽界では、間違いなく、スタジオからライブへのシフトがさらに加速する。そして、ライブでのパフォーマンスに強みを持つアーティストが、より存在感を増していくはずだ。HMV渋谷の閉店はCD不況の象徴だが、それは音楽不況と等価ではない。CDショップからライブハウスへ、音楽ファンの集まる場所が変わる現状の、象徴でもあるのだ。

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アメリカの卵生産会社、サルモネラ菌が原因で2万2800トン分の卵を回収

米、卵3億8千万個自主回収 サルモネラ汚染で

 【ワシントン共同】米中西部アイオワ州で生産された卵がサルモネラ菌に汚染され、少なくとも数百人の食中毒を引き起こした疑いが強まり、同州の卵生産会社は19日までに、全米に出荷した約3億8千万個の自主回収を始めた。米食品医薬品局(FDA)などは、食中毒の被害がさらに拡大する恐れが強いと警告している。

 3億8千万個は米国の卵消費量2日分に相当し、FDA当局者によると、近年では最大規模の回収。

(2010年8月20日 47NEWS・共同通信)

 このところ、異物混入や不具合などが原因で商品を回収するニュースが続いている。例えば、「チーズ金属片混入:回収、メーカー5社で100万個超」(8月20日毎日新聞)、「電子たばこ:11銘柄からニコチン検出 自粛・回収指導、厚労省が通知」(8月19日毎日新聞)、「サッポロ飲料『梅で元気』を自主回収」(8月18日msn産経ニュース)などなど。
 しかし、上の記事には驚いた。何しろ、3億8000万個の卵だ。1個あたり60グラムとすると、3億8000万個×60グラム=22800000000グラム=22800000キログラム=22800トン。2トントラックで1万台分、旅客船「ふじ丸」の総トン数に匹敵する量である。これだけの卵を回収し、廃棄処分するだけでも、莫大な手間と費用がかかるだろう。失われた売上額や、食中毒患者への賠償金などを含めた損害額がどのくらいになるのか、想像もつかない。

 もう一つ驚いたのは、「3億8千万個は米国の卵消費量2日分に相当」するというくだりである。外務省「各国・地域情勢」によると、アメリカの人口は3億914万人。彼らが2日で3億8000万個の卵を消費するということは、1人が1日に0.61個食べる計算になる。これは、いくら何でも多いと思ったのだ。
 ところが、僕の考えは甘かった。
 総務省の「世界の統計」ページにある「1人当たり供給食料」によると、アメリカにおける卵類の1人あたり供給量は、年間14.6キログラム。しかし、アメリカを上回る国は、デンマーク(19.0キログラム)、オランダ(17.5キログラム)、中国(17.0キログラム)、メキシコ(16.6キログラム)など、決して少なくない。そして日本は19.0キログラムで、デンマークと並んでトップ。日本は、世界有数の卵消費国だったのだ。高木伸一氏が運営する「たまご博物館」中の「主要国の鶏卵消費量」ページでも、日本の鶏卵消費量が世界トップクラスであると紹介されている。
 農林水産省の「食糧需給表」lでは、2009年における鶏卵の「1人あたり粗食料」を19.4キログラムとしている。これを60グラムで割ると323.3。つまり、日本人は1年間で323.3個、1日あたり0.9個の鶏卵を食べているわけだ。ちなみに、8月5日付け記事「小麦粉を使った食物の半分を米食にすれば、米の消費量は1.27倍に」でも紹介したとおり、日本人が1年間に消費する米は63.2キログラム。これと比べると、いかに日本人が卵を食べているか、実感できると思う。

 もちろん、マヨネーズや菓子などで食べている卵も多いのだろう。それにしても、1日に0.9個の卵を消費しているとは……。なるほど、「卵かけごはん」の本がベストセラーになるわけだ。日本人の卵好き、個人的には意外な発見だった。

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韓国の小中高生の自殺率は日本より28%高い

韓国で小中高生の自殺200人超 09年、社会に衝撃

 【ソウル共同】韓国で昨年に自殺した小中高生が初めて200人を超え、社会に衝撃を与えている。韓国は5月に経済協力開発機構(OECD)がまとめた統計資料で、主要工業国を中心とする約30の加盟国のうち、10万人当たりの自殺率が21・5人とトップになったばかり。背景には学歴偏重による激しい受験競争や、自殺対策の遅れなどが指摘されている。

(2010年8月18日 47NEWS・共同通信)

 日本と韓国には、たくさんの共通点がある。その1つが、自殺率の高さだ。OECDの統計資料「自殺者数(人口十万人あたり)」によれば、28カ国の人口10万人あたり平均自殺者数は11.1人。これに対し、韓国は21.5人で28カ国中1位。日本は19.1人で3位だった。
 社会事情データ図録の「主要国の自殺率長期推移(1901~2006)」によると、日本の10万人あたり自殺者数は、1900年以降、ずっと20人前後で推移。日本は伝統的に、自殺率が高い国なのだ。しかし、韓国の自殺率は昔から高かったわけではない。1980年代から1995年頃までの韓国では10人前後。自殺率については、ごく平均的な値だったといえる。ところが、1995年以降、自殺者が急増。2000年代に入ると、ついに日本を超える水準まで達してしまった。
 悪いことに、韓国では若年層の自殺率も高い。上で紹介した記事は、2009年に202人の小中高生が自殺したと伝えている。そこで、日韓の小中高生の自殺率を計算してみたのが、下の表だ。

日本
  生徒数 自殺者数 10万人あたり
小学生  706万3606人  1人 0.01人
中学生  361万2747人  79人  2.19人
高校生  355万6003人  226人  6.36人
合計  1423万2356人  306人  2.15人
韓国
  生徒数 自殺者数 10万人あたり 日本との比較
小学生  329万7000人 6 人 0.18 人 12.9倍
中学生  196万2000人  56人  2.85人 1.30倍
高校生  206万9000人  140人  6.77人 1.06倍
合計  732万8000人  202人  2.76人 1.28倍

※韓国の小中高生数は、2010年2月19日付けのワウコリア記事「ことしの学齢人口、1000万人割れの見通し」を参照。日本の小中高生数は「学校基本調査」、自殺者数は警察庁の「平成21年中における自殺の概要資料」を参照した。なお、日本の高等学校生徒数については、全日制・定時制・通信制を合計したもの。

 ご覧のとおり、韓国の小中高生の自殺率は、日本より28%も高い。全体の自殺率(韓国21.5人、日本19.1人)では13%しか違わないのだから、これはかなり大きな差だ。とりわけ、小・中学生の自殺率の高さが目に付く。

 韓国人の俳優や歌手の自殺が、日本でも大々的に報道されている。しかし、それは芸能界だけではなく、韓国社会全体に広がる問題なのかもしれない。どうして韓国の自殺率は急増したのか。その背景を分析することは、日本での自殺防止にも役立つはずだ。

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「新規就農者」の50.3%が60歳以上

農家の後継ぎ大幅増 リストラや定年退職組も

 2009年に新たに農業を始めた新規就農者数が、前年より11・4%多い6万6820人だったことが18日までに、農林水産省の調査で分かった。農家の高齢化は進んでおり、子どもが年を取った両親に代わって農家を継ぐケースが増加したことが主な要因。農業生産法人への就職者数などを含む現行の新規就農者の調査を始めた06年以降、新規就農者の増加は初めて。

(2010年8月18日 47NEWS・共同通信)

 上の記事で取り上げられているのは、農林水産省が公表した「平成21年新規就農者調査結果の概要」だ。これによると、2009年の「新規就農者」は6万6820人。そのうち、50.3%にあたる3万3580人が、60歳以上だった。

2009年 年齢別新規就農者
全新規就農者 6万6820人
(100%)
39歳以下 1万5030人
22.5%
40~59歳 1万8210人
27.3%
60歳以上 3万5380人
50.3%

 つまり、新しく農業の世界に足を踏み入れた人の半分以上が、「定年世代」なのである。これは、驚くべき事実ではないか。

 「新規就農者」には3種類に大別される。1つ目は、農業法人などに雇用された「新規雇用就農者」。2つ目は、新たに土地を手に入れて農業経営を始めた「新規参入者」。そして3つ目が、農家の世帯員で、家業を継ぐことになった「新規自営農業就農者」だ。それぞれの年齢別新規就農者数は、下記のようになる。

  新規雇用就農者 新規参入者 新規自営農業就農者
全世代合計 7570人
(100%)
1850人
(100%)
5万7400人
(100%)
39歳以下 5100人
67.4%
620人
33.5%
9310人
16.2%
40~59歳 1660人
21.9%
720人
38.9%
1万5830人
27.6%
60歳以上 810人
10.7%
510人
27.6%
3万2260人
56.2%

 農業法人などに就職する「新規雇用就農者」の分野では、やはり、若い世代がかなり多い。また、農業で独立を目指す「新規参入者」の分野では、資本力とやる気を兼ね備えているであろう壮年層が目立つようだ。だが、家族の耕地を引き継ぐ「新規自営農業就農者」の分野では、56.2%が60歳以上。つまり、年老いた就農者から定年世代に引き継がれる、いわば「老老継承」が行われているわけだ。

 近い将来の世界では、食糧危機が必ず起こる。その時、頼りになるのは農業だ。そして、農業のノウハウを身に付けるには、相応の期間が必要になる。だから、今から農業を始めておけば、先行者利益を得られる可能性は高い。それなのに、若い世代が農業に参入していないのはなぜか? 問題は、農業に対する魅力の少なさより、農業を始める際のハードルの高さにあると思う。
 若年層に農業知識を教える機会の提供。農業経営への参入希望者に対する土地や資金の提供。そういった、若い農業従事者を増やす施策を、もっと講じるべきなのではないか。そうすれば、農業業界は活性化し、食品の質の向上や、コストの削減などにつながるかもしれない。もちろん、食糧自給率の向上にも役立つはず。
 例えば、「国立農園への就職オプション付き、農業専門学校」のような仕組みがあれば、希望者は少なくないだろうし、日本のためにもなると思うのだが。

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