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白谷のノート(3冊目)

被災3県では20人に1人が現在も避難中

復興願う希望の灯火 震災から2度目の大みそか

 深い爪痕が残る地に、希望の明かりがともる。あの日から2度目の大みそか。夜の仮設住宅で、市街地で、生きる証しがきらめく。時の節目の輝きに、人々の願いと祈りが重なる。
 東日本大震災の最大の被災地、宮城県石巻市の街を高台から望んだ。「復興元年」とされた2012年。多くの被災者が悲しみを乗り越え、生活再建へ一歩を踏み出した。
 厳しい現実も続く。仮設住宅などで避難生活を強いられているのは、全国で約32万5000人。福島第1原発事故の被害が深刻な福島県では、約5万8000人が県外へ避難している。
(2012年12月31日 河北新報)

 東日本大震災と福島原発事故が起きてから2度目の大みそか、か。

 「3.11」の記憶は、スカイツリー開業、ロンドン五輪、中国・韓国との国境を巡る争い、政権交代といったニュースに押しやられ、過去のものにされようとしている。被災地に対する関心も、小さくなる一方だ。だが、上で紹介したニュースなどを目にすると、震災や原発事故はいまだに「現在の出来事」なのだと痛感する。

 復興庁が公開している「避難者等の数[平成24年12月12日]」によれば、現在でも32万人以上の方が避難生活を余儀なくされている。宮城県、福島県、岩手県の3県に限っても、約25万人が避難中という状況だ。
 実はこの人数、昨年からあまり減っていない。約1年前に公表された「避難者等の数[平成23年12月21日]」と、今年のデータを比較したのが下の表。

2011年12月の避難者 2012年12月の避難者 増減
岩手県 4万3812人 4万1626人 -2186人
宮城県 12万3927人 11万2008人 -1万1919人
福島県 9万5546人 9万8235人 +2689人
合計 26万3285人 25万1869人 -1万1416人

 最も減少幅の大きかった宮城県でも、避難者数は1割ほどしか減っていない。福島県に至っては、かえって避難者数が増えているのだ。とてもじゃないが、震災が終わったなんて、口が裂けても言えないのが現状だ。

 避難者の比率も高い。岩手県ウェブサイトの「岩手県毎月人口推計」ページ、宮城県ウェブサイトの「宮城県推計人口(月報)」ページ、福島県ウェブサイトの「福島県の推計人口」ページによれば、2012年12月1日現在における岩手県の人口は130万2645人、、宮城県は232万6957人、福島県の人口は196万523人。ここから、各県の「避難率」を算出したのが下の表。

避難者数(A) 人口(B) 避難率(A/B)
岩手県 4万1626人 130万2645人 3.2%
宮城県 11万2008人 232万6957人 4.8%
福島県 9万8235人 196万523人 5.0%
合計 25万1869人 559万125人 4.5%

 被災3県の避難率は4.5%。ざっと見積もって、20人に1人がいまだに仮住まいなのだ。

 新しい年が、もうすぐやってくる。だが、年明けと共に記憶を風化させてはいけない。震災と原発事故は、今も過去ではなく、現在進行形の問題なのだ。

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妊娠した女性の6人に1人が中絶を選択

妊娠中絶20万件、最少更新 厚労省「知識が普及」

 平成23年度に全国で実施された人工妊娠中絶が20万2106件だったことが25日、厚生労働省の集計で分かった。10年度から約1万件減り、過去最少を更新した。

 母体保護法などで都道府県知事に届け出が義務付けられている妊娠22週未満の中絶件数が対象。データのある昭和30年度から減少傾向で、厚労省は「妊娠に関する知識や避妊方法の普及が影響しているのではないか」とみている。

2012年10月25日 MSN産経ニュース

 上で紹介したニュースにあるように、2011年度の人工妊娠中絶件数は20万件あまり。僕は「こんなに多いのか!」と驚いたが、これでも過去最少の数字だという。厚生労働省の統計調査「衛生行政報告例」によれば、中絶件数の調査が始まった1955年の中絶件数は117万0143件。こちらと比較すれば、2011年度の件数は6分の1ほどで、なるほど改善がなされているようだ。

 ただ、以前に比べれば出生数も減っている。そこで、「衛生行政報告例」と、厚生労働省の「平成23年(2011)人口動態統計の年間推計」を使って「中絶率」(中絶件数を、出生数と中絶数の合計で割ったもの)を算出してみた。

出生数(A) 中絶件数(B) 中絶率(B/(A+B))
1955年 173万0692 117万0143 40.3%
1961年 158万9372 103万5329 39.4%
1971年 200万0973 73万9674 27.0%
1981年 152万9455 59万6569 28.1%
1991年 122万3245 43万6299 26.3%
2001年 117万0662 34万1588 22.6%
2011年 105万7000 20万2106 16.1%

※出生数は全て暦年での数値。中絶件数については、2011年度のみ年度での数値で、その他は暦年での数値。本来は、流産や死産、あるいは「違法な中絶」なども加えて算出する方が正確だが、割愛した。

 1955年当時の中絶率は4割を超えていた。妊娠した女性の、5人に2人の割合で中絶していたのだ。にわかに信じがたいほどの数字ではないか。その後、中絶率は徐々に減少。しかし、2011年になっても16.1%という水準にとどまっている。ざっくりと言って、妊娠した女性の6人に1人は中絶という道を選んでいるわけだ。以前よりははるかにマシだが、それでも、かなりの水準ではないかと感じる。

 「衛生行政報告例」には、世代別の中絶件数も掲載されている。そこで、2011年と1961年の世代別中絶率も算出した。

2011年
出生数(A) 中絶件数(B) 中絶率(B/(A+B))
20歳未満 1万3318 2万0903 61.1%
20~24歳 10万4059 4万4087 29.8%
25~29歳 30万0384 4万2708 12.4%
30~34歳 37万3490 3万9917 9.7%
35~39歳 22万1272 3万7648 14.5%
40~44歳 3万7437 1万5697 29.5%
45~49歳 802 1108 58.0%
50歳以上 41 21 33.9%
1961年
出生数(A) 中絶件数(B) 中絶率(B/(A+B))
20歳未満 2万5218 1万4475 36.5%
20~24歳 46万9027 18万1522 27.9%
25~29歳 69万1349 30万9195 30.9%
30~34歳 37万2175 31万5788 45.9%
35~39歳 13万8158 22万5152 62.0%
40~44歳 3万3055 10万9652 76.8%
45~49歳 1572 1万3027 89.2%
50歳以上 134 268 66.7%

 25歳以上の世代では、おしなべて中絶率は下がっている。ところが、「20~24歳」と「20歳未満」では中絶率が上がっているのである。晩婚化が進み、この世代の婚姻率が低下していることが背景にあるのは確かだ。他にも、「子供を持てない」「持ちたくない」と若い世代に考えさせるような事情が、現在の日本にはあるのだろう。

 妊娠した女性の6人に1人が中絶している事実は、なかなかに考えさせられるものがある。「妊娠に関する知識や避妊方法の普及」だけではなく、出産しやすい環境を用意して中絶率を下げる取り組みをぜひ強化して欲しいと、心から感じた。

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ルーマニア人は摂取カロリーの12%をチョコで得ている

世界の雑記帳:チョコ摂取量多い国、ノーベル賞輩出の確率高まる=研究

 [11日 ロイター] チョコレート消費量が多い国ほど、ノーベル賞受賞者を輩出する確率が高い――。こんな研究結果が医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表された。
 チョコレート消費量とノーベル賞受賞者を輩出する確率に相関関係を見いだしたのは、米ニューヨークの病院に勤務するフランツ・メッサーリ医師。同医師はこの相関関係を、ココアやワインに含まれる抗酸化物質フラボノイドが、認知力テストで高得点を獲得することに関係するという研究から思い付き、23カ国のチョコレート摂取量とノーベル賞受賞者数の人口比を調べたという。
 その調査結果によると、最も相関関係が見られたのはスイスで、スウェーデン、デンマークがそれに続く。スイス出身のメッサーリ医師は「スイス人は平均で、1本当たり85グラムのチョコバーを年間120本食べる」と話す。

(2012年10月11日 毎日新聞)

 上の記事を見て驚いたのは、スイス人のチョコレート消費量だ。記事によれば、彼らは85g×120本=10.2kgものチョコバーを、1年で食べているらしい。
 ただし、世界一のチョコレート消費国はスイスではない。日本チョコレート・ココア協会サイトの「世界主要国チョコレート菓子生産・輸出入・消費量推移」ページによれば、1人あたりチョコレート消費量が最も多いのはルーマニア。2009年における消費量は、15.4kgにも上る。これに対し、日本は2.1kg。主要国の中では最も低い部類だ。

 食品のカロリーが一覧できるサイト「グラムのわかる写真館」によると、チョコレートは1kgあたり5570kcal。つまり、ルーマニア人は1年間に15.4kg×5570kcal=8万6000kcalを、チョコレートを通じて摂取している。一方、成人の摂取カロリーの目安は1800~2200kcalとされる。ざっくり2000kcalとすると、1年間で2000kcal×365日=73万kcal。8万6000kcal÷73万kcal≒11.8%だから、ルーマニア人は必要なカロリーの12%ほどをチョコレートから得ているのだ。

 ちなみに、総務省の「家計調査」によれば、日本人1人あたりの食パン消費量は年20kgほど。食パンのカロリーは1kgあたり2640kcalなので、日本人は20kg×2640kcal≒5万3000kcalを食パンから得ている計算になる。つまり、ルーマニア人にとってのチョコレートは、日本人にとっての食パンより大きなカロリー源というわけだ。彼の地では、チョコレートは主食に近い存在なのだろうか。

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 話は横道にそれる。

 新聞社は、来る日も来る日も新聞を作っている。これは、実に大変なことだ。時には、ネタが少なくて苦労する時もあるだろう。それでも、白紙のページを作るまいと彼らは努力を重ねる。
 このあたりの事情は、テレビ局も同じ。決められた放送時間を埋めるため、制作担当者は必死になって映像を撮ってこなければならない。
 ネット時代になって、「紙幅・ページ数」や「放送時間」という足かせはなくなりつつある。数十万字を費やして伝えたい記事があれば、何ページも使って語り続ければいい。オンデマンド放送なら、尺を気にせずに番組を作ることができる。紙幅や放送時間の都合でカットする必要などないのだ(「長々と語られても誰も見ねえよ」という編集上の問題はあるが)。逆に、スペースを埋めるためだけに、愚にもつかない記事や映像を垂れ流す必要もなくなる。これは、新聞社・テレビ局にとっても、読者にとっても幸せなことではないだろうか。

 ただ、「埋め草記事」の中にも、時には愛すべきものがある。上で紹介したのは、その一例だ。
 記事で紹介されているアメリカの医師は、いわゆる「疑似相関」の罠にはまっている。例えば、秋になると食欲は増す。同時に、もの悲しい気持ちになる人も増える。でも、だからといって、「もの悲しい気持ちになるのは、食欲が増したからだ!」という結論にはならない。医師が主張しているのは、その種の与太話だ。もちろん、記事の作り手にとってそのあたりの事情は百も承知。上のニュースは、こう結ばれている。

 2001年にノーベル物理学賞を共同受賞した米国人物理学者のエリック・コーネル氏は、チョコレート消費量は国の富に関連し、質の高い研究も国の富に関連すると指摘。ゆえに、「チョコレート消費量と質の高い研究に関連性があると言えるだろう。ただし、直接的な因果関係はないが」と付け加えた。

 誠にごもっとも。この結論が全てである。ただ、ノーベル賞を輩出する確率をチョコレートと結びつけるのは、罪がなくていいと思うのだ。例えば、ノーベル賞輩出率は、1人あたりGDPや教育費ともある程度の相関関係があるのだろう。また、軍事費や社会保障費ともそれなりの連動性があると思われる。でも、それらを持ち出すと、笑って読み飛ばせる記事にはならない。
 「チョコとノーベル賞」というテーマは、埋め草として素晴らしい塩梅だ。毒にも薬にもならない感じが、実に丁度いい。新聞のネット移行が進むと、この種の記事は恐らく減少するはず。でも、なんとか一定量は残して欲しいと、僕は密かに願っている。

 ちなみに、ノーベル賞の公式サイト「Nobelprize.org」によると、ルーマニア出身の受賞者は3人とさほど多くない。しかも、3人とも国籍はルーマニア以外のようだ。件の医師に伝えたら、どんな反応をするだろうか。

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