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日本の全原発を石油火力発電所に置き換えると燃料費は年5兆円増

ファイル:東日本大震災 日本の石油需要を上方修正

 国際エネルギー機関(IEA)は12日発表した4月の石油市場月報で、11年の日本の石油需要予測を上方修正し、前月の予測に比べ日量15万バレル多い同445万バレルとした。東日本大震災の被災地の復興や原発事故の影響による需要増を見込んだ。

(2011年4月13日 毎日新聞)

 2011年3月31日付け当ブログ記事「原発を全廃して火力発電所で代替するには10兆7000億円の建設費が必要?」の続き。

 上で紹介した毎日新聞記事によれば、東日本大震災による原発事故などの影響で、日本の石油需要は日量15万バレル増えると見込まれている。
 現在の原油価格は1バレル106ドル前後。原油の輸入量が1日に15万バレル増えると、年間では15万バレル×365日×106ドル≒58億ドルとなる。日本円にして約5000億円。この額があと何年必要になるのか分からないが、これも震災による被害の一部と言えるだろう。

 ところで、東京電力の資料「数表でみる東京電力」を見ると、出力100万kWの発電所を動かすには年140万キロリットルの重油が必要らしい。1万kWあたり1400万リットル(=1.4万キロリットル)だ。一方、電気事業連合会サイトの「電力統計情報」ページによれば、2009年度における原発の最大出力は日本全体で4623万kWとなっている。
 仮に、日本のすべての原発を、石油火力発電所で置き換えるとしよう。すると、4623×1400万リットル≒647億リットルの重油が必要になる。石油情報センターの「価格情報」ページによると、2011年2月時点での重油価格は1リットル77円。つまり、原発を石油火力発電所で置き換えた場合、年に647億リットル×77円≒4兆9800億円の燃料費が必要なのだ。

 火力発電所の燃料としては、重油の他に石炭、LNGなども利用されている。石炭・LNG火力発電所で置き換えた場合の燃料費は分からないが、重油より劇的に安いことはあるまい。もしそうなら、石油火力発電所は放棄されるだろうから。
 日本の原発をすべて止めて火力発電に置き換えると、年5兆円の燃料費が余分にかかる。当然、電気料金は値上げされるし、温室効果ガスの放出量も大幅に増えるはず。そうしたことも、僕らは知っておくべきだ。

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 反原発派にせよ原発推進派にせよ、感情的に意見を言い募るだけでは不毛だ。原発を廃止した場合のコスト、産業界や環境に与える影響、未来の産業構造や社会のあり方などをすべてまな板に乗せ、進むべき道を考えるべきだろう。

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オフィスの1人あたり面積は前年よりタタミ1畳分拡大

 オフィスワーカー1人当たりの床面積が大幅増 森トラスト調べ

 森トラストの調査によると、2010年のオフィスワーカー1人当たり床面積は、対前年比15%増の13.8平方メートルとなった。2001年以降、減少・横ばい傾向が続いており、増加に転じるのは10年ぶり。過去1年に入居した企業の1人当たりの床面積(13.6平方メートル)が同時期に退去した企業の1人当たりの床面積(9.1平方メートル)を大幅に上回ったほか、継続して入居していた企業の1人当たりの床面積も13.4平方メートルから13.9平方メートルに増加した。

(2011年4月12日 朝日新聞・住宅新報社)

 上で紹介した記事の元ネタは、森トラストが公表した「オフィスワーカー1人当たり床面積動向調査 ’10」

 同調査によれば、2000年当時、オフィスの1人あたり床面積は15.1平方メートルだった。これは、タタミ9畳分ほどの広さに相当する。しかし、翌2001年には13.7平方メートル(約8畳)に急減。その後も右肩下がりの傾向は続き、2009年には12.0平方メートル(約7畳)まで減った。ところが、2010年には13.8平方メートル(8畳強)に増加。1人あたりの仕事スペースは、前年に比べ、畳1枚分の余裕ができたことになる。

 1人あたり床面積が増えた理由はオフィスの「値頃感」にあると、同調査は分析している。
 リーマン・ショックの起こった2007年以降、景気低迷によってオフィスビルの借り手は減った。一方、好況期に計画・着工されていた新しいオフィスビルが、続々と完成。不動産流通近代化センターの「不動産業統計集」ページによれば、東京23区の事務所床面積は、2007年の4459haから、2009年には4568haへと2.4%増えている。その結果、オフィスビルは供給過多に陥った。2007年9月には1.7%だった東京23区内オフィスの空室率は、2010年12月には7.7%に跳ね上がったのだ。
 空室率が上がれば、オフィスの賃料は下がる。前出「不動産業統計集」の資料「不動産賃貸」内にある「東京都心の地域別オフィスビル賃料の推移」の項を見ると、丸の内・大手町エリアの坪あたり賃料は、2008年の3万7554円から2010年には3万0587円に下落。他の地域でも、おしなべて落ち込んでいる。

 そこにもってきて、今回の大震災だ。東北地方と首都圏では、オフィス需要はさらに小さくなる可能性が高い。貸し手の企業は大変な思いをしているだろう。

 ただ、借り手側にとっては嬉しい状況ではある。起業したばかりのベンチャー企業は、安い賃料で好条件のオフィスが借りられる。一般企業でも、打ち合わせスペースが一回り広くなったり、個室を与えられる従業員が増えるかもしれない。今は、広いオフィスでゆったり働くチャンス。そう考えることもできるのだ。

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自販機で売られる清涼飲料は38.5%~廃止ならメーカーには大打撃

石原慎太郎4選会見「パチンコと自販機規制で電力対策」

 4選を果たした石原慎太郎東京都知事(78)が、自販機やパチンコの電力消費ぶりをぶった切り、ネット上で絶賛する声などが相次いでいる。一方、両業界では、節電に努めていると反論しており、困惑している様子だ。
(中略)
 10日夜の当選後も、各社のインタビューに熱弁を振るった。石原氏は、自販機とパチンコの両業界で年間の電力消費がそれぞれ450万キロワットで、合わせて1000万キロワット近い電力が浪費されていると強調。これは、福島第1原発とほぼ同じ電力消費だとした。そして、国は、オイルショック時に出したように、節電のための政令を出せばよいとまで言い切った。

(2011年4月11日 Jcastニュース)

 東京都知事選で、石原慎太郎氏が4回目の当選を果たした。当確が出た後のインタビューで飛び出したのが、上のセリフ。

 石原氏の「自販機とパチンコで、年間の電力消費が1000万kW」という発言は、「消費電力」と「消費電力量」を混同している。消費電力とは電化製品などを動かす際に使われる電力のこと。この値に時間を掛けたものが「消費電力量」になる。例えば、消費電力が10Wの電球を1時間点灯すると、消費電力量は10Whだ。「年間の電力消費」と言うからには消費電力量を指すはずだが、単位はkWとなっている。
 石原氏は自販機とパチンコの消費電力量について、「福島第1原発とほぼ同じ」という表現をしている。東京電力サイトの「最近の運転実績」ページによれば、2009年度における福島第1原発の年間発電量は329億万kWh。「1000万kW」とは、似ても似つかない値だ。ただし、1000万kWと聞いてピンと来る数字がある。福島第1原発(出力470万kW)と、福島第2原発(出力440万kW)の合計出力が、910万kWなのである。恐らく石原氏は、「自販機とパチンコの消費電力は、福島第1・第2原発の合計出力とほぼ等しい」という意味合いのことを言いたかったのではないか。

 ただし、こうやって善意に解釈しても、不都合な点が出てくる。
 自動販売機工業界の「2009年末自販機普及台数及び年間自販金額」ページによれば、自販機の普及台数は396万1600台。これに対し、自販機の消費電力は450万kWだと、石原氏は主張している。
 450万kW÷396万1600万台=1.14kW(1140W)。つまり、石原氏の主張が正しければ、自販機の1台あたり消費電力は1140Wになる。これは、500リットルクラスの大型家庭用冷蔵庫(定格消費電力250~300W程度)の4倍ほどだ。396万1600台の自販機の中には、乾電池・玩具(70万台)やたばこ(40万5000台)など消費電力の小さい自販機も含まれている。いくら何でも、1台の自販機が冷蔵庫の何倍も電気を食うことはないはずだ。
 同じJcastニュース記事には、日本自動販売機工業会専務理事の「全国の消費電力量は年間44億キロワット時」というコメントも紹介されている。44億kW÷365日÷24時間=50万2283kW。これを396万1600台で割ると、0.127kWh=127Wh。恐らく、こちらの方が実態に近い。石原氏の言う「450万kW」という数字は誤りで、全国の自販機をすべて廃止しても、せいぜい数十万kWほどの節電にしかならないだろう。

 これに対し、自販機を全面廃止した場合の経済的損失は大きい。富士経済のリポート「清涼飲料市場 2009年の結果と2010年の展望」によると、2009年の清涼飲料市場は4兆8820億円。一方、前出の「2009年末自販機普及台数及び年間自販金額」によれば、自販機による清涼飲料の年間販売金額は1兆8795億円。清涼飲料の38.5%が、自販機を通じて売れているわけだ。自販機廃止で、コンビニなど他のチャネルに回る消費者もいるだろうが、清涼飲料の売り上げ激減は避けられまい。
 自販機チャネルへの依存度が高いメーカーは、さらに厳しい状況に追い込まれる。下の表は、ダイドードリンコの「平成23年1月期 決算説明補足資料」、アサヒビールの「FACTBOOK2011」、キリンホールディングスの「2009年度版データブック」、伊藤園の「Corporate Book 2010」から、自販機チャネルが各社の販売額に占める割合を抜き出したもの(キリンHD、アサヒビールは非アルコール事業のデータ)。

  自販機の割合
ダイドードリンコ 88.8%
アサヒビール 34.0%
キリンHD 31.2%
伊藤園 16.8%

 伊藤園のように自販機への依存率が低いメーカーなら、仮に自販機が廃止されてもやっていけるだろう。しかし、ダイドードリンコのような企業にとっては、まさに死活問題。石原氏は、そのあたりの事情を分かっているのだろうか?
 石原氏の発言をチェックしてみると、ずいぶん粗雑な点が多いなあと思う。勇ましいけど、整合性はとれていない。この人が、あと4年間、都政を担うのか……。まあ、僕が住んでいるのは森田健作氏を県知事に、プリティ長嶋氏を県議に選んだ選挙区だから、ため息をつく資格もないんだけどさ。

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