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「Reader」の電子コミックは、紙と同等の値段設定……

『進撃の巨人』最新刊も電子書籍で読めるっ!『Reader』に6000冊追加!

 コンパクト・軽量化を追求したボディーや文字の読みやすさで“読む”ということに特化した電子書籍端末といえば、ソニーの『Reader』。
 そのReaderが、電子書籍フォーマット“.book(ドットブック)”に新たに対応し、.bookビューワーを搭載したアップデートファイルを6月22日からReaderユーザー向けに提供を開始した。

(2011年6月22日 週アスPLUS)

 上の記事を読み、少し悲しくなった。今、日本の大企業に、市場をあっと言わせるような、ドラスティックな一手を期待するのは無理なのかな。

 ソニーの電子書籍専用端末「Reader」が「.book」形式のファイルに対応したこと自体は、素晴らしいニュースだ。問題は、上の週アスPLUS記事で紹介されている、次の一文である。

「価格は紙のコミックと基本的に同価格だが、安いものもあるとのこと。」

 2010年7月20日付け当ブログ記事「電子書籍の普及は、埋もれていた書物の発掘をもたらす!」で触れたが、従来型書籍では、売り上げの1割が著者、2割が出版社、3割が取り次ぎと書店、4割が印刷所・製本会社に渡る。ところが、電子書籍では印刷・製本過程が不要。電子書店に支払う手数料も、取り次ぎや書店の取り分より少なくて済む。つまり、従来型書籍より電子書籍の方が、ずっと安く出せるはずなのだ。ところが、「Reader」向けコミックの値段設定は、紙のコミックと同等にするという。

 事情は想像できなくもない。電子書籍の事業は始まったばかり。企業側には、初期投資を早く回収したい気持ちがあるのかもしれない。また、電子書籍を安売りすれば、紙の書籍の売り上げに悪影響がでる。書店などは強く反発するだろう。
 だが、それは企業側の理屈だ。読み手には全く関係のないこと。こんな勝手な値付けで、消費者が納得するわけがないのである。このままでは、電子書籍の普及は遅々として進まないだろう。

 「Reader」の使い勝手はいいとはいえない。6月22日付けITmedia記事「電子書籍、先行き“読めず” 専用端末・コンテンツが伸び悩み」で解説されている通り、「Reader」はコンテンツを取り込むために、ネットに接続されたPCが必要だ。さらに、読み終わった書籍を友人にあげたり、古本屋に売ることも不可能。紙の書籍に比べ、不便なところが多すぎる。
 その上、「Reader」そのものの購入費もかかる。ソニーストア上での直販価格は、1万9800円~2万4800円。仮に1台あたり100冊の電子書籍を購入するとすれば、1冊あたり198~248円の端末購入費が上乗せされているわけだ。
 不便で、値段も高い。これでは、電子出版の普及など画に描いた餅だ。

 もし、電子出版事業を盛り上げたいと思うなら、最初から紙の書籍よりずっと安い値段で出す方がいい。そして、一気に市場を奪うべきだ。しかし、企業はそうしない。「外圧がないと変われない」というのは、日本が長い間抱えてきた病巣だ。電子出版の分野でも、同じことが繰り返されている。それが悲しい。
 結局、Amazonあたりが安い電子書籍を出さないと、何も変われないのかなあ……。その挙げ句、彼らに市場を奪われてしまうようなことになれば、泣くに泣けないと思うのである。

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日本人の1人あたり電子書籍購入額はアメリカ人の3.8倍

米電子書籍シェア8%超 10年、2・6倍に

 米出版社協会(AAP)が16日発表した2010年の米国での書籍売上高によると、電子書籍が前年の約2・6倍の4億4130万ドル(約370億円)となり、教科書などを除く一般書籍全体におけるシェアが8・3%に達した。

(2011年2月17日 47NEWS・共同通信)

 電子書籍の分野では、アップルやアマゾンといったアメリカ発の企業が大きな存在感を放っている。だから、アメリカに「電子書籍先進国」というイメージを持つ人は少なくないだろう。しかし、少なくとも売り上げの面では、アメリカの電子書籍市場はまだまだ小さい。
 上で紹介したmsn産経ニュース記事によれば、2010年におけるアメリカの電子書籍売上高は370億円。一方、インプレスR&Dのニュースリリース「2009年度の電子書籍市場規模は前年比23.7%増の約580億円~2014年度には2009年度比約2.3倍の1300億円と予測~」にあるとおり、日本の電子書籍市場は574億円だ。人口1人あたりの年間売上高を算出すると、アメリカが118円で、日本は450円。日本人は、アメリカ人の3.8倍もの電子書籍を買っているのだ。

 もちろん、アップルの「iPad」や、アマゾンの「Kindle」で読書を楽しむ日本人が、アメリカ人以上に多いわけではない。前出の「2009年度の電子書籍市場規模~」によれば、日本における新プラットフォーム(スマートフォンなどを指す)向け電子書籍市場は、たったの6億円。全電子書籍市場の1%に過ぎない。市場の中心は、全体の89%を占める「ケータイ向け電子書籍市場」(513億円)だ。
 携帯電話の画面の狭さを我慢しながら、小説やコミックを読んでいる人は多い。これらの層が、より快適に読書できるスマートフォンやタブレット端末に移動する可能性は十分にあるだろう。「2009年度の電子書籍市場規模~」も、3年後の新プラットフォーム向け電子書籍市場を200億円程度、5年後は600億円程度と見積もっている。

 電子書籍に対する日本人の需要は、かなり大きい。ファイルフォーマットの統一などの課題をきちんとクリアできれば、今後、相当規模の市場が期待できるはずだ。

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3D映画のヒットで、上位10作品の「占有率」は11.7%アップ

映画興行収入、過去最高2200億円 アバターなど3Dがトップ3

 日本映画製作者連盟(映連)が27日発表した2010年の全国映画概況によると、邦画と洋画を合わせた興行収入の総額は、前年比7・1%増の約2207億円となり、過去最高を更新した。

 洋画のトップは「アバター」の156億円で、「アリス・イン・ワンダーランド」(118億円)、「トイ・ストリー3」(108億円)と、3D作品が100億円を超え、トップ3を独占した。邦画のトップは、スタジオジブリのアニメ「借りぐらしのアリエッティ」の92億5000万円だった。

(2011年1月27日 msn産経ニュース)

 2011年1月27日付けmsn産経ニュース記事「出版不況止まらず 昨年の販売額1兆8748億円 6年連続減 二極化進む」では、「突出して売れる本と、それ以外の二極化が顕著」という出版科学研究所のコメントが伝えられている。出版業界に身を置く者として、実に得心がいく話。内容がどうというより、話題について行くために本を買う。そんな消費行動をとる人が、このところ増えているように感じるのだ。
 ヒット作・話題作とそれ以外に二極化する動きは、出版業界に限らないのかもしれない。ゲーム業界ではソーシャルゲームなどのコミュニケーション重視型ゲームが勢力を拡大中。今後は、特定のゲームにプレイヤーが集中する傾向が強まると見る。音楽業界も、2010年12月20日付け当ブログ記事「AKB48と嵐のおかげで、CDシングルの総売上は2006年以来の増加に」で紹介したように、嵐とAKB48がCDシングルの年間ランキングを独占した。

 だが、2009年までの映画業界は、こうした動きとは逆行していた。「飛び抜けた大ヒット作」に観客が集中するのではなく、中ヒット・小ヒット作が数多く生まれる傾向があったのだ。
 そのあたりの事情を分かりやすくしたのが、下の表。日本映画製作者連盟の「最新映連発表資料」ページを基に、興行収入50億円以上の作品数、洋画・邦画を合わせた上位10作品の興行収入の合計、全映画作品の興行収入合計をまとめた。また、上位10作品の興行収入を全映画の興行収入で割った「上位10作品の占有率」(以後、単に「占有率」と書く)も算出した。

  50億円以上作品 上位10作興収(A) 全映画興収(B) 占有率(A÷B)
2001年 4本 776億円 2002億円 38.8%
2002年 8本 945億円 1968億円 48.0%
2003年 8本 890億円 2033億円 43.8%
2004年 8本 981億円 2109億円 46.5%
2005年 6本 737億円 1982億円 37.2%
2006年 11本 735億円 2029億円 36.2%
2007年 6本 627億円 1984億円 31.6%
2008年 4本 604億円 1948億円 31.0%
2009年 4本 518億円 2060億円 25.2%
2010年 7本 815億円 2207億円 36.9%

 下のグラフは、占有率の推移だけを抜き出したもの。

上位10作品の占有率

 占有率がピークに達したのは、「ハリー・ポッターと賢者の石」「ハリー・ポッターと秘密の部屋」が大ヒットした2002年。占有率は48.0%で、10作だけで総興行収入の半分近くを稼いでいた。ところが、その後は右肩下がりになり、2009年には25.2%まで低下。また、興行収入が50億円を超える大ヒット作も、このところ減少傾向だった。一方、全映画の興行収入は決して下がっていない。つまり、観客が少数のヒット作に群がるのではなく、多くの作品に分散するようになったのだ。

 ところが2010年の占有率は、前年に比べて11.7%上昇。グラフは6年ぶりに反転した。原因は、「アバター」「アリス・イン・ワンダーランド」「トイ・ストーリー3」という3D映画の3作品が、100億円以上の興行収入をたたき出したからだ。
 これらの作品が客を集めたのは、いわば「3D特需」の恩恵だ。例えば、「アリス~」の興行収入は118億円。しかし、個人的な意見を言わせてもらえば、作品の出来自体はさほどのものではない。仮に2Dで制作したら、同じティム・バートン監督作品の「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)の興行収入53.5億円を上回るのは難しかったのではないか。

 来年の映画業界では、さらに3D作品の割合が高まるだろう。そうなれば、3Dというだけで客を集めることはできなくなる。そのとき、上位10作品の占有率は再び下がるのか。あるいは、他の業界と同様に、特定作品への集中度を高めるのか。要注目だ。

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