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新聞・雑誌広告費のシェアは5年間で6.7%減、ネットは7.8%増

広告費3年連続減…テレビは6年ぶり増

 電通が23日発表した2010年の国内の総広告費(推定)は、前年比1・3%減の5兆8427億円と3年連続で減少した。
 円高で収益を圧迫された企業が経費を削減したことなどが要因だが、サッカーW杯や上海万博など広告出稿が増える大型イベントが相次ぎ、減少幅は前年(11・5%減)より大幅に縮小した。

(2011年2月24日 読売新聞)

 電通が毎年発表している「日本の広告費」が、今年も公開された。2010年の総広告費は、対前年比で1.3%減。10~12月期はプラスに転じており、広告費の落ち込みは底を打ったと分析されている。
 ただし、いわゆる「4マス」関係者の中でホッと一息つけるのは、テレビ関係者だけ。新聞や雑誌は広告収入の落ち込みに歯止めがかからず、頭を抱えているところだ。

 以下は、「2010年(平成22年)日本の広告費」から、総広告費と、テレビ・新聞・雑誌・インターネット広告費の金額を抜粋したもの。また、それぞれの総広告費に占めるシェアを算出し、掲載している。

  総広告費 テレビ 新聞 雑誌 ネット
2005年 68235億円 20411億円 10377億円 4842億円 3777億円
29.9% 15.2% 7.1% 5.5%
2006年 69399億円 20161億円 9986億円 4777億円 4826億円
29.1% 14.4% 6.9% 7.0%
2007年 70191億円 19981億円 9462億円 4585億円 6003億円
28.5% 13.5% 6.5% 8.6%
2008年 66926億円 19092億円 8276億円 4078億円 6983億円
28.5% 12.4% 6.1% 10.4%
2009年 59222億円 17139億円 6739億円 3034億円 7069億円
28.9% 11.4% 5.1% 11.9%
2010年 58427億円 17321億円 6396億円 2733億円 7747億円
29.6% 10.9% 4.7% 13.3%

 まず気がつくのは、テレビ広告費のシェアが意外に落ちていないことだ。総広告費の落ち込みに伴って金額は小さくなっているが、シェアはほぼ一定水準を保っている。BS、CS、CATVなどの「衛星メディア関連広告費」が着実に売り上げ額・シェアを伸ばしていることを考えると、テレビは十分に健闘していると言えるだろう。
 一方、新聞と雑誌は、厳しい状況だ。2005年~2010年の5年間に、新聞は4.3%、雑誌は2.4%もシェアを落としている。
 では、活字媒体が失った6.7%のシェアは、果たしてどこに行ったのか? 答えは言うまでもなく、インターネット媒体である。インターネット広告費のシェアは、この5年間で7.8%伸びた。2006年には雑誌を、2009年には新聞を追い抜き、テレビに次ぐ第2の広告媒体に成長している。
 これまで、テレビ・新聞・雑誌・ラジオは「4マス媒体(4マス)」と呼ばれてきた。しかし、この表現は、今や完全に死語だ。今後は、テレビとネットが「2マス」と呼ばれるようになるのかもしれない。

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 ところで、順風満帆に見えるネット広告業界にも、気になる点がある。それは、総広告費に占める広告制作費の割合が、年々下がっていることだ。以下のグラフは、前出の「日本の広告費」から、インターネット広告費に占める「広告制作費」の割合を算出したもの。

ネット広告費に占める制作費の推移

 インターネットの媒体力が高まり、媒体料金が高騰した結果、制作費の割合が下がったのであれば、何も問題はない。ただ、単に制作費が切り詰められているのだとしたら、作り手の端くれである僕としても心配なところだ。

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iPad向け新聞の購読料は現在の4割程度になるかも?

iPadで新聞・雑誌の定期購読 料金の3割アップルに

 米アップルは15日、タブレット型端末「iPad(アイパッド)」や携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けに、新聞や雑誌などを定期購読できるサービスを始めたと発表した。
(中略)
 新聞社・雑誌社にとっては購読者を増やす機会が増えるが、この仕組みを使って獲得した購読者の購読料の30%はアップルに入ることになる。また、新聞社や雑誌社がウェブサイトなどを使い自前で購読者を獲得する場合の購読料は、アップルとの契約により、アップストア経由より安く設定することが認められない。

(2011年2月16日 朝日新聞)

 2010年7月20日付け当ブログ記事「電子書籍の普及は、埋もれていた書物の発掘をもたらす!」で、僕は「書籍の売り上げのうち、1割が著者、2割が出版社、3割が取次と書店、4割が印刷・製本会社に渡る」と書いた。出版物の形式・分野などで割合は多少異なるだろうが、この原則はほとんどのケースで通用するはずだ。
 おおざっぱに言えば、出版物の中身を作るための経費が3割。印刷・製本工程と完成品を流通させる経費が7割だ。だから、電子出版が普及し、印刷・製本と流通工程を省ければ、出版物の価格を安くしたり、著者の取り分を増やすことが可能なのだ。

 僕は、新聞業界については明るくない。しかし、事情は出版業界とそれほど変わらないだろうと考えている。

 例えば、上で紹介した記事を掲載している朝日新聞社を例に取ってみよう。Laflaが運営する有価証券報告書オンライン閲覧サービス「有報リーダー」に掲載されている、朝日新聞社の「売上原価明細書」によれば、同社の2010年3月期売上原価合計は2183億円。このうち、材料費が482億円(22.1%)、印刷費が421億円(19.3%)を占める。合わせて41.4%。これは、出版業界の「印刷・製本工程で4割」と、ほぼ同水準だ。
 さらに、新聞業界では「戸別宅配制度」が敷かれている。この仕組みは、書店による流通よりはるかに人件費がかかる。朝日新聞広告局サイトの「朝日新聞はどんなメディア?」ページによれば、同紙の発行部数は796万部。1人の配達員が300部ずつ配ると仮定すると2万6500人、500部ずつ配るとしても1万5900人ほどの人員が必要だ。こうした販売網を維持するには、少なく見積もっても数百億円。下手をすると、1000億円以上の費用がかかるのではないか。
※このあたりの文章は、かなりの部分を推測に基づいて書いています。新聞の原価について詳しい方がいたら、ぜひ、詳細をご教示いただけるとありがたいです。

 仮に、新聞業界でも出版業界と同様に、「編集・制作工程に3割、印刷・流通工程に7割」という比率が成立しているとしよう。そして、朝・夕刊セットの新聞購読料を月4000円と仮定する。すると、編集・制作工程の分け前は1200円、印刷・流通工程は2800円だ。ここで紙への印刷と個別宅配制度を取りやめ、電子新聞の発行のみに切り替えると、2800円の部分はカットできる。その分アップルに、売り上げの3割を差し出さなければならないわけだ。

 その場合、新聞の購読料をxと置くと、このような式が成り立つ。

x=1200円(編集・制作工程の取り分)+x×30%(アップルの取り分)

 これを解くと、xは1714円ということになる。現状の月額4000円より、6割近く購読料を引き下げられるわけだ。

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 もちろん、これが机上の空論に近いことは承知している。既存の新聞が紙を捨て、電子新聞に完全切り替えを図れば、仮に購読料が6割引きになったとしても販売部数は激減するだろう。それに伴い、新聞社が得ている広告料も大きく落ち込む。また、印刷・流通部門を切り捨てるということは、この部門の従業員を数万人単位で解雇するということだ。それほどの大手術、おいそれとは踏み切れまい。
 しかし、現在の新聞のビジネスモデルは、破たんへ向かってまっすぐに進んでいる。近い将来、多くの新聞社はコスト削減のため、自前の印刷工場、流通網を捨てるはずだ。また、倒産の危機に直面する新聞社も、少なからず現れるだろう。抜本的な外科手術は、どのみち、いつかはしなくてはならないのだ。

 そういう意味では、現時点で経営危機に陥っている新聞社こそ、逆にチャンスなのかもしれないな。印刷・流通部門という重しを捨て、記事制作に特化した電子新聞社としてのノウハウをいち早く積めば、生き残る可能性は高まるだろう。

 すでに海外では、こうした動きが表面化している。2011年2月3日付けSankeiBiz記事「iPad向け有料電子新聞 マードック氏のニューズ、年39ドル」で紹介されているように、アメリカでは週あたり購読料が80円という低価格の電子新聞が登場。このような「コンテンツ特化型電子新聞社」は、日本でも広まる可能性が高いと見る。

 売り上げを落としている全国紙あたり、近々に思い切った改革を行うのではないか。個人的には、そんな風に注視している。

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誤植満載「平城京レポート」のページ毎編集費はたったの1万4000円

法華寺が法華時…誤りだらけの平城京レポート

 奈良県は31日、昨年の平城遷都1300年祭の内容をまとめた冊子「平城京レポート」に誤記や再確認が必要な記述が計170か所あったと発表した。
 県は配布予定だった800部を、編集を委託した業者(東京)に返品し、刷り直すよう求めている。昨年末に約1000部を発行した後、20か所以上のミスが判明、対応を検討していた。

(2011年1月31日 読売新聞)

 誤植や誤記が満載の出版物。編集者やライターにとって、悪夢のような話だ。
 もちろん、そんなダメな出版物を出した編集者は、責任を問われてしかるべきだろう。だが、記事を読む限り、編集側にも同情の余地は大いにあると思う。

 上の読売新聞記事によれば、「平城京レポート」はA4判、284ページ。「編集費」は約400万円だという。1ページあたりに直すと、400万円÷284ページ≒1万4000円だ。
 僕は、書籍やパンフレットの原価管理に携わった経験がない。また、この「レポート」がどのような内容なのかも知らない。ただ、常識的に考えれば、こんな予算で質の高い出版物を作るのは不可能だ。
 ここで言う「編集費」が、どこまでを指すのか判然としない。そこで、「編集者の企画・ディレクション・原稿整理に対する対価(編集料)+ライターの執筆料+DTP担当者への対価(デザイン料)」までを含むと仮定しよう。それぞれのざっくりとした相場は、編集料がページ3000~5000円、執筆料が8000~1万5000円、デザイン料が2~4000円といったところではないか。この時点で、最低でも1ページあたり1万3000円の費用がかかる。当然、カメラマンやイラストレーターに写真やカットを頼む余裕はない。校正者も無理だ。ましてや、誤字などを訂正するだけでなく、文章内容にまで踏み込んでチェックする「校閲者」など、とても呼べないだろう。

 原稿を書くライターにしても、この予算では多くを望めまい。読売新聞記事によると、「レポート」の原稿は、30人の外部ライターが手分けして書いたそうだ。おそらく、ほとんどは奈良の歴史にも仏教にも明るくない、ごく普通のライターだったはず。この仕事に適任な書き手が、30人もいるわけがないのだ。
 総ページ数は284ページだから、1人あたりの担当ページ数は9ページほど。原稿料は、全部で数万円といったところだ。ライターの立場からすれば、この程度の記事に膨大な時間は掛けられない。現地取材などもってのほか。多くのライターは、ネットや図書館で集めた参考資料をつなぎ合わせ、何とか原稿をまとめたのだろうと想像する。そりゃ、事実誤認が頻出するのも当たり前だ。

 奈良県は「執筆期間が短く、確認も不十分だった」とコメントしている。しかし、この出版物が失敗したのは、期間が足りなかったためではない。3カ月もあれば、立派な書籍を仕上げるには十分。むしろ原因は、明らかに予算不足=人手不足だ。予算をかけなかったのだから、それ相応の成果しか上げられないのは当然だろう。

 僕がこのプロジェクトの担当者なら、現状の2.5倍の予算がほしい。そうしたら、少し値は張るが、腕が良くて歴史や仏教の知識を持つライターを3~5人確保する。また、博識で歴史関係の出版物を手がけた経験の豊富な校閲者と、大学教授などの監修者も用意。あとは、県の担当者と企画内容をしっかり煮詰め、スタッフなどとの交通整理を普通にこなせば、自動的に質の高いレポートが仕上がるはずだ。

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 世の中には、出すことが最大の目的という出版物がある。お役所が作る報告書は、その典型だ。目を通す人はごく少数。報告をまとめたという「アリバイ作り」をするだけの存在だ。
 そうした出版物を低コストで作るのは、ある意味、目的にかなっていると言えるだろう。今回の「レポート」は薬師寺による抗議によって注目度が高まり、そのずさんな内容が明るみに出た。しかし、こうした「低コスト・低品質」な出版物は、日本のあらゆる場所で生み出され、誰の目にも触れぬまま消え去っているのだろうと思われる。
 出版関係者の端くれとしては、思わず考え込んでしまうニュースだった。

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